子育て 「里親」新しい家族のカタチ

市内三芳地区在住。現在、4人の里子を育てている段さんご夫妻にお話しを伺いました。

■里親を始めたきっかけを教えてください
2020年南房総市広報紙の里親特集記事を見て、ファミリーホームを開きたいと思い、その日のうちに市役所へ電話をかけました。以前から、困っている子どもを助けたい、シングルマザーなどを助けたいという思いがありました。里親特集を見たことがきっかけとなり行動へ移すことができました。市役所へ電話し、その後、児童相談所へ電話して、オレンジの会を紹介してもらいました。翌年の里親登録前研修を受講し、12月に里親登録されました。それと同時に、児童相談所から里親委託の打診がありました。

■実子の子育てと里子の子育てで違いは感じますか?
里子も自分の子どもと思って育てているので違いは感じません。里子だと思って育てていないので、本気で怒り、本気で褒めています。里子達は、順番に面倒を掛けて、愛情を確認しているように感じます。
朝起きて、「どこまで着替えればいいの?」と聞かれたことがあります。洋服だけ着替えればよいのか、下着も着替えるのかが分からなかったようです。リンゴを大皿で出したら、1人で全部食べてしまったこともありました。食べないとなくなってしまうと思ったからだったようです。それからは、それぞれのプレートに乗せて出すようにしました。幼い頃からの育ちによって、できないこと、分からないことはあるが、それも含めてその子だと思い、知らないことは教えてあげようと思っています。

■初めて子どもを預かったときのお気持ちや様子を聞かせてください
最初は、3人兄弟の弟2人の委託があり、1ヶ月後に兄が委託されました。実子が高校3年生で、この先、里父母2人だけの生活になっていくのかと思っていたタイミングだったので、「お試し行動ってどんなことだろう?」とワクワクした気持ちでした。お試し行動というか、「なんで?」を頻発したり、じーっと人を観察したりする様子が見られました。
学校で友達ができるかな?と心配しましたが、「何も悪くないのだから、堂々としていなさい。」と伝えていました。里親子であることをオープンにしており、子ども達も里子であることを友達にカミングアウトしています。幼稚園生の里子を受託した時は、泣き叫ぶなどのお試し行動が多かったので、上の里子達が嫌がりました。特に3兄弟の一番下は、里父母を取られたように感じたのか甘えてくることもありました。

■地域との繋がりはありますか?
地区の総会で、里親になったことを報告し、里子を受託してからは、近所への挨拶まわりをしました。子ども達は、ペットの犬猫と触れ合い可愛がってくれています。犬の散歩で、近所の人とお会いすることも多いです。子ども達には、「挨拶を大事に」と伝えています。近所づきあいを知ることは、子ども達が大人になった時に役立つと思っています。里子の1人は、「昔は未来の話ができなかったけれども、今は将来の話ができるようになった。未来が見えるようになった。」と言っています。

■里親になって思うことを教えてください
愛情を注げば、子どもは真っすぐ育つんだなと感じています。

■これから里親になろうと考えている人達へのメッセージをお願いします
大変なこともありますが、人生観が変わります。教えることよりも教わることが多くて楽しいです。何事も言葉にして伝えることが大切です。それが子ども達の心に響きます。周囲の人からは、大変なことをしているねと言われますが、自分の人生が広がり、里子のお陰で友達が増えました。あまり気構えずに、困ったら里親仲間や支援機関に相談することが大切です。真面目に受け止めすぎず、時には、「まあいっか。次に行こう。」という気持ちを持ってほしいです。

◆里親制度のご案内
◇里親制度とは?
虐待や親の病気など様々な理由で親と一緒に暮らせない子どもたちを養子縁組だけではなく、子どもにとって必要な期間、自分の家庭に迎え入れ、養育することをいいます。
里親制度は児童福祉法に基づいた公的な、「子どものための制度」です。

◇家族のぬくもりを知らないまま暮らしている子どもたちがいます
親と一緒に暮らせない子どもたちが全国で約4万2000人います。
子どもがすこやかに成長するためには、安定した家庭環境の中で、保護者の温かい愛情のもとに育てられることが必要です。

◇里親になるには?
お住いの地域を管轄する児童相談所へ相談に行く必要がありますが、まずは、「里親制度説明会」へご参加ください。制度概要や里親登録まで手続きなど詳しくご案内いたします。

◇里親への支援
市には、県からフォスタリング機関(里親子への包括的支援をする機関)として指定を受けている『特定非営利活動法人子ども家庭サポートセンターちば(通称:オレンジの会)』があり、里親制度の普及、推進活動を活発に行っています。
里親に興味関心がある人、里親家庭を応援したい人、お気軽にお問い合わせください。

問合せ:オレンジの会
【電話】28-4288

◇里親制度を知ってもらうための、広報活動を行っています
これから里親制度を広げていくためには、里親になる人だけでなく、多くの人にこの制度を知っていただき、地域で里親家庭を受入れ、支えてくださる人が必要です。
市民の皆さんの理解が広がるよう、今後とも、児童相談所と連携しながら、必要な支援を行っていきます。

問合せ:
子ども教育課【電話】46-2936
君津児童相談所【電話】0439-55-3100

□里親には4つの種類があります
・養育里親
様々な事情により家庭で暮らせない子どもを一定期間、自分の家庭で養育する里親
・専門里親
養育里親のうち、虐待、非行、障害などの理由により専門的な援助を必要とする子どもを養育する里親
・養子縁組里親
養子縁組によって、子どもの養親となることを希望する里親
・親族里親
保護者が死亡、行方不明などにより養育できない場合に、祖父母などの親族が子どもを養育する里親
*里親には子どもの生活費、教育費など子どもの養育に必要な費用が公費で支払われます。

□里親登録までの流れ
(1)相談
居住地を担当する児童相談所で里親制度について説明を受けます。
(2)研修受講
県が実施する一定の研修を受講してください。
(3)申請・調査
児童相談所職員が、ご家庭を訪問し、家庭の状況や子どもの養育への考え方などをお伺いします。
(4)審査・登録
千葉県社会福祉審議会を経て、県知事が里親として認定・登録します。

◆県主催の里親制度説明会を開催
里親になりたい人、里親についてちょっと知ってみようかなと思っている人、お気軽にご参加ください。
とき:11月3日(祝・月)13:00~15:00
ところ:子ども家庭支援センター「オレンジ」(南房総市安馬谷2043)
内容:里親制度の説明里親体験談(養育里親、養子縁組里親)
※個別相談にも応じます。
参加費:無料
申込み:本紙3ページの二次元コードを読み込み、Googleフォームから入力して下さい。

問合せ:子ども家庭サポートセンターちば(オレンジの会)
【電話】28-4288