- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県いすみ市
- 広報紙名 : 広報いすみ 令和7年8月号
■改めて「お米」を考える
いすみ市長 太田洋
昨今、世界経済が流動化し、貿易秩序が崩れ、世界的に物価高となっています。一時期物価の神様と言われ、安い価格の典型として卵と並んでいた米までが価格上昇となり、ここ最近、毎日、ニュースで取り上げられています。農林水産大臣も変わり、いよいよ備蓄米を低価格で放出するまでになってしまいました。この米価の値上がりは複雑なものがありますが、結論は、市場に流入する量が足りないのではないかと考えます。
最近は、日本を訪れる外国人旅行客が増えたり、また、海外での日本食ブームなど、米にまつわる話が多く聞かれます。現在の経済は、すべて需要と供給のバランスで成り立っていて、今、日本食ブームを反映して米を確保するために、業者が懸命に動いています。一方、JAは集荷に苦戦しているのが現状です。すなわち、米の需要が増しているのです。国内では人口減少、少子化、高齢化が進み、需要は減りつつありますが、米の需要が国内外で高まったため、価格上昇へとなったと考えられます。
ある総会でのスピーチで、米農家の収入は時間あたり10円と聞きましたが、これを聞いていよいよここまで来たかと思い、農家の人の苦労が目に浮かんできます。毎日食べる食糧は安い方が良いに決まっています。小泉大臣が何とか安いお米をと苦労しています。でもこのやり方は未来永劫に続くものではありません。ではどうしたらよいのか。世界の主要国は食糧の安全を保障するため、国が価格を支えています。いわゆる公共調達の仕組みです。日本も、国の食料自給率を上げるため一定の価格を保障し、安心して生産できる仕組みをつくり、消費者にはできるだけ安く供給する仕組みの構築がこれから必要ではないでしょうか。日本の米作りは、中山間地での耕作です。農村地域の高齢化が進む中、どうしたら農業や農家を守り豊かな農村風景を維持できるか、一方、国民の食をいかにして安定供給できるかを考え、安心して暮らせる楽しい日本にしてほしいと思います。