- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県多古町
- 広報紙名 : 広報たこ 令和7年1月号
牛尾の蛇祭りは、牛尾地区に江戸時代から約200年にわたって伝わる伝統の祭りです。毎年11月に行われ、わらを編み上げて作った大きな大蛇を地域の若者たちが担ぎ神社までの道を練り歩いて、五穀豊穣を祈ります。
令和6年11月10日(日)、最後となる蛇祭りが牛尾地区の白幡神社で行われました。今年は大蛇を作らず神事のみを行い、その歴史は静かに幕を下ろしました。氏子として地域の皆さんが守り受け継いできた伝統の祭。
人口減少や少子化などの課題もあり、地域の皆さんの決断で今回をもって最後となりました。世代を超えて歴史を紡いでこられた牛尾地区の皆さんに敬意を表します。
◇加瀬正裕さん(牛尾地区在住)
昔は、地域の子どもたちが祭りの前日に学校から帰ると、大蛇の胴体作りでロープ引きを
手伝ったりして、地域の中でにぎわいを見せていました。一方現在では、少子高齢化や人口減少、ライフスタイルの変化などもあり、「女形」役をやるお子さんや大蛇を担ぐ若い人たちなど、人を集めることが大変で運営も困難になってきました。
永く受け継がれてきた稲わら文化の伝統行事が無くなってしまう寂しさはありますが、地
区の皆さんも終了はやむを得ないという認識を持っており、今回の決断に至りました。祭りは無くなりますが、これからも地区の皆さんとの付き合いは続いていきます。
多古町の牛尾地区に「牛尾の蛇祭り」という祭りがあったことを、多くの皆さんの心に留め置いていただけたらうれしく思います。
◇取材後記
片付けをされているときの皆さんの表情は明るく、仲の良さを感じました。伝統行事が無くなるのは寂しいことですが、地域の皆さんが実情を踏まえて決めたことだと思いますので、前向きな決断だったのではないかと思います。伝統の良いところは残しつつ、時代に合わなくなってきた部分は柔軟に変えていく、これからの社会に必要なことではないかと思いました。