健康 病気の豆知識

■正常圧水頭症
脳神経外科 金岡杏純 医師

最近、「よく転ぶようになった」「話がかみ合わず、ぼんやりしている」「トイレが間に合わない」——周りにそんな症状のある方はいませんか?
一つでも当てはまる場合、「正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)」という病気が隠れているかもしれません。
脳は豆腐のようにやわらかい組織のため、衝撃から守るために脳脊髄液という水に浮かぶような状態で存在しています。この水(脳脊髄液)がうまく流れず、脳の内部にある「脳室」という空間にたまってしまう病気が「水頭症」です。水がたまっているのに頭の中の圧はあまり高くならないため、「正常圧」と呼ばれます。
特徴的な症状は次の3つです:
1.歩行障害:足が前に出にくい、小刻みなすり足で歩く、転びやすくなる。
2.認知機能の低下:会話が噛み合わない、ぼんやりして集中力が続かないなど。
3.尿失禁:急な尿意、トイレまで間に合わず漏れてしまう。
この病気は高齢の方に多く、認知症やパーキンソン病と間違われやすいため、見逃されることもあります。しかし、手術で改善が見込める病気です。
水頭症が疑われる場合、まずはタップテストという背中から水(脳脊髄液)を抜いて症状が良くなるかを確認する検査を行います。効果があれば、たまった水をお腹の空間に流すためのチューブを入れる手術(シャント手術)を行います。
症状が出始めの段階であれば、改善が見られる可能性が高く、早期診断・早期治療が非常に重要です。年齢のせいと決めつけず、お心当たりのある方は、ぜひ一度脳神経外科にご相談ください。

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