その他 語り継がれるまちの記憶(1)

江戸のころより宿場町として発展した新宿には多くの文化財が残り、さまざまな伝説・伝承が語り継がれています。新宿の歴史に触れることができる伝説・伝承をたどりながら、区内を散策してみませんか。詳しくは、新宿文化観光案内サイト「温故知しん!じゅく散歩」(本紙右二次元コード)でもご案内しています。

※資料所蔵…新宿歴史博物館

■ご存知(ぞんじ)「東海道四谷怪談」の主人公
お岩さんゆかりの社寺
歌舞伎や講談で知られる「東海道四谷怪談」は、夫に毒殺されたお岩が夫を恨んで幽霊として現れる怪談話です。この「お岩さん」は実在し、本来の夫婦仲は円満だったと伝えられています。

(1)於岩(おいわ)稲荷田宮神社(左門町17)
もともとは、御先手組同心(おさきてぐみどうしん)田宮家邸内にあった社で、初代又左衛門の娘がお岩。お岩が婿養子の伊右衛門とともに家勢を再興したことから、江戸の人々から信仰を集めたといわれています。明治時代に火事で焼失後、現在の中央区へ移転しましたが、昭和27年にこの地にも社が再建されました。

(2)於岩稲荷 陽運寺(よううんじ)(左門町18)
境内にある秦山木(たいさんぼく)の下にお岩の祠(ほこら)があったという伝承が起源のお寺。本堂にはお岩の立像が祀(まつ)られ、境内にはお岩様ゆかりの井戸があり、開運や縁切り、縁結びなどに特にご利益があるとされています。

▼イベント情報 四谷怪談二百年
今年は、鶴屋南北作「東海道四谷怪談」の初演から200年目にあたります。この記念の年に、四谷怪談をテーマにした講談会と四谷怪談関連の錦絵の展示を行います(展示の観覧は午後5時30分まで)。申し込み方法等詳しくは、新宿歴史博物館ホームページ(本紙右下二次元コード。【HP】https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/)をご覧ください。
日時・期間:8月16日(土)午後6時から(2時間程度)
出演:神田こなぎ「誉の高松」、宝井一凜「四谷怪談お岩様誕生」、神田あおい「四谷怪談」
申込期限:8月2日(土)まで

会場・場所・問合せ:新宿歴史博物館(四谷三栄町12-16)
【電話】3359-2131

■目玉を狙う盗賊に不思議な光を発した
江戸最大の閻魔(えんま)像
(3)太宗寺(たいそうじ)(新宿2-9-2)
江戸時代、この閻魔像の目玉を盗もうとした盗賊が、目玉から発する不思議な光で気絶し捕らえられたという話が広まり、錦絵にも摺(す)られました。太宗寺には、閻魔大王に仕える奪衣婆(だつえば)の像(左下写真)、自分の痛む部分に塩をかけて祈願するとご利益があるという塩まみれの塩かけ地蔵(右写真)もあります。

■亡者の着物をはぎとる三途の川の渡し守
奪衣婆(だつえば)の霊験
(4)正受院(しょうじゅいん)(新宿2-15-20)
“綿のおばば”こと正受院の奪衣婆は、咳止めの霊験が評判でお礼参りに綿が奉納されました。幕末には、綿のおばばが「強盗を捕まえた」「綿に引火した火を消した」という話が広まり、おおいに信仰を集めたとか。綿をかぶった奪衣婆像(本紙右写真)は閉じられた格子戸越しの拝観となります。

■太田(おおた)道灌(どうかん)を手招きして救った黒猫
招き猫伝説
(5)自性院(じしょういん)(西落合1-11-23)
江古田・沼袋原の戦いで道に迷った武将・太田道灌を、一匹の黒猫が自性院に導き窮地を救ったという伝説が残ります。現在は「ねこ寺」として親しまれ、秘仏「猫地蔵」(本紙右写真)が安置され、毎年2月3日に開帳されているほか、境内には招き猫の石像(本紙左写真)も。