しごと 社会課題解決に取り組むスタートアップを育てる。(1)

―渋谷から世界に向けて、サービスを広げていきたい。―

■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
渋谷区のスタートアップ認定制度「S-Startups」やスタートアップビザを活用した国内外の起業家の皆さんに、事業の内容や支援制度の活用、将来の展望などについて伺いました。

・合同会社陽界禅 ナイヤナン・スリサラカムさん
「ストレスを抱える皆さんのメンタルヘルスを保つお手伝いができればと思っています。」
・SolarDuck株式会社 オラフ・デ・スワルトさん
「日本の自然環境に最適な洋上浮体式太陽光発電で、日本社会の脱炭素化を支えたいと思います。」
・ノバルス株式会社 岡部顕宏(おかべあきひろ)さん
「離れて暮らす家族をつないで、地域の見守りサービスの質を高めていきたいです。」
・株式会社レッドクリフ 佐々木孔明(ささきこうめい)さん
「渋谷の夜を盛り上げるコンテンツとして、ドローンショーを広めていきたいです。」

[渋谷区のスタートアップ支援]
区では、国内外のスタートアップ(新規事業を立ち上げる会社・個人)のビジネス立ち上げや成長支援のための「Shibuya Startup Support(シブヤ スタートアップ サポート)(以下「SSS」)」という取り組みを行なっています。
具体的には、令和5(2023)年度より開始したスタートアップ認定制度「S-Startups(エス スタートアップス)」の採択者や、「外国人起業活動促進事業(以下「スタートアップビザ」)」により入国をした外国人起業家に対して、実証実験の調整、連携先の紹介、イベント開催や出展機会の創出などによる支援を行なっています。

◆人・情報・技術が集まる渋谷は、スタートアップ企業にとって魅力的な場所
◇皆さんの自己紹介をお願いします。
スリサラカム:合同会社陽界禅(Yokaizen)のナイヤナン・スリサラカムです。タイ出身で、令和6(2024)年にスタートアップビザを取得しました。ストレスを抱える人のメンタルヘルスを改善するデジタル漫画の提供を目指す会社で、最高執行責任者(COO)を務めています。

デ・スワルト:オランダのスタートアップ企業「SolarDuck(ソーラーダック)」のオラフ・デ・スワルトです。スタートアップビザを取得して、令和4(2022)年に共同創業者として日本支社を立ち上げました。洋上での浮体式太陽光発電事業を展開していて、現在は東京都の実証事業や東急不動産株式会社との実証プロジェクトなどに参加し、国内で実績を重ねているところです。

岡部:S-Startups1期生の岡部顕宏です。ノバルス株式会社の代表取締役を務めています。テレビのリモコンなどの単3電池を使用する家電にセンサーと通信機能を搭載した電池型製品「MaBeee(マビー)みまもり電池(以下「みまもり電池」)」を入れることで、家電の使用状況を検知し、専用アプリを通じて遠くに住んでいる家族に高齢者の安否などを知らせるサービスを提供しています。

佐々木:S-Startups2期生の佐々木孔明です。株式会社レッドクリフの代表取締役を務めています。夜空に驚きと感動を届ける、日本最大級のドローンショーを企画・運営しています。現在開催中の大阪・関西万博では、毎日ドローンショーを実施しています。

◇渋谷で事業を立ち上げようと思った理由を教えてください。
スリサラカム:渋谷はクリエーティブな街であり、漫画喫茶やデザインスクールなどがたくさんあります。スタートアップへの支援も充実していて、新しいアイデアを形にするにはベストな場所だと思いました。

岡部:渋谷はITベンチャー企業の拠点としてテクノロジーが集まる一方、生活している人もたくさんいらっしゃる地域です。テクノロジーを使いながら地域に根ざしたサービスを届けたいという思いから、渋谷で事業を始めました。

佐々木:ドローンショーによって空にメディアをつくり、エンターテインメントや広告プロモーションなどのサービスを提供するにあたり、渋谷という場所は情報発信において非常に魅力的なエリアだと感じ、渋谷で事業をスタートしました。

デ・スワルト:日本の多くのエネルギー会社の本社が東京にあることと、パートナー企業の本社が渋谷にあることから、渋谷で会社を立ち上げることにしました。

◇S-Startupsへの応募理由を教えてください。
佐々木:ネットワーキングイベントなどを通じて、協力企業などとつながりを持てるところが、私たちのような小さなスタートアップ企業にとっては大きな魅力でした。また、事業に直接関係しなくても、同じ境遇にいるスタートアップ企業とつながり、バックオフィスや人事に関する相談ができたことは、思いがけないメリットの1つでした。

岡部:事業開始当初は企業や個人向けにサービスを提供していましたが、自治体と連携して地域の人に向けた見守りサービスを進めていきたいと考え始めたときに、ちょうどS-Startupsの開始を知り、応募しました。プログラム期間中は、渋谷区の高齢者福祉課などさまざまな部門と積極的につないでいただいたおかげで、スムーズに事業を進めることができました。