くらし 【特集】日本一の豆腐は青梅から とうふ工房ゆう 1

日本一の豆腐屋さんが青梅にあることをご存じですか?
とうふ工房ゆうの大久保さんに、豆腐作りにかける想いについてお伺いしました。

■「とうふ工房ゆう」とは
青梅市裏宿町で2016年に開業してから、手作りにこだわった豆腐作りを続けている。
原材料の大豆から厳選し、甘みや香りが豊かで食感のなめらかな豆腐が魅力。

■全国豆腐品評会
全国の豆腐屋さんの豆腐を風味や食感、後味などの項目で審査し、豆腐の日本一を決める品評会。
昨年9月に行われた第8回大会では、とうふ工房ゆうの「特選よせとうふ」(寄せ、おぼろ豆腐の部)が最優秀賞の農林水産大臣賞、「特選絹ごし」(絹ごし豆腐の部)が金賞を受賞しました。

ー全国豆腐品評会での受賞の要因はありますか?
今大会は、結構接戦だったみたいなんですけど、うちの豆腐はバランスが良かったみたいです。
風味や食感、後味といった評価項目の中で、どれか1つだけが抜けていたわけではなくて、全ての項目で高評価をいただきました。

ー品評会にあたって苦労した点はありますか?
あまりないですね。
品評会のために準備して特別な豆腐を造っているのではなくて、日々造っているものを送って、審査してもらうだけなので。
そもそも豆腐って、品評会だからうまく造ろうとしてもできないです。大豆が採れた畑によって全く違うので、毎日豆の状態が違います。作り方も微妙に違って、100点の豆腐はほぼ無いんですよ。
なので、毎日100点を目指して研究しています。
その日々の研究の積み重ねが、品評会での評価につながったんだと思いますね。

ー豆腐店を開業したきっかけはありますか?
もともと祖父の家が豆腐屋さんをやっていて、私は幼少期からにがりのお豆腐を食べる機会がとても多かったことです。
僕の中では、お豆腐ってとてもおいしいものでした。だけど、大人になってから豆腐の話題になったときに「豆腐って味がないよね」とか、「しょうゆとかをかけないと食べられないよね」という話になったんです。僕からしたら、そのままでは味がないしおいしくないと思われていることが驚きでした。
今はスーパーなどで大量生産されている豆腐が多いですから、つるっと食べられる味噌汁に入っているもののイメージで、主役じゃなくて脇役だと思われているのかなと。
それなら、大豆に対して100%味を引き出せるように、手作りでしっかり造ってお客さんに提供したら、必ず「あ、全然違うね」ということを知ってもらえるのではないかと思い、それを目的にお店を開きました。

ーどうして青梅に?
多くの人においしい豆腐を食べてもらいたいからです!
青梅に住んでいる方は、結構1つの土地で2世帯、3世帯住んでいる方が多いんです。そうすると、1丁ではなく、孫たちの分とか息子世帯の分とか何丁も買っていってくれるんです。
やはり人口の多いところだと一人暮らしとか、夫婦だけとかで住んでいることが多いので、比べると青梅って食卓を囲む人数も多いんですよ。そういったところでおいしい豆腐を造って、皆さんがおいしいねって笑顔になったらうれしいじゃないですか。
他にも、当時たまたま青梅に来る機会があって、地元の方と話をしたところ、「青梅の駅前に昔あったスーパーなどがなくなってしまって、食材を買えるところがなくて困っている」という話も聞いていたので、青梅に開業を決めました。

ー1日のスケジュールを教えてください。
朝4時くらいに製造室に入って製造を始めて、12時ぐらいに休憩して、また午後から翌日の豆の仕込み、夕方4時にお店を閉めるような感じです。造っている間は、目を離せないですね。
他にも取引先へ行ったり、店の納品書を作ったり、いろいろやることがあるので、夜まで結構盛りだくさんです。

ーふだんはどのようなお客さんがいらっしゃいますか?
平日は地元の方が多いですね。
休日になると、関東圏の方を中心に、市外から来てくれる人が多くなります。

ー大久保さんにとって豆腐の魅力とは何ですか?
豆腐って、大豆と水とにがりだけでできるんです。そんな少ないもので、あれだけ個性のあるものを造れるということが魅力ですね。
擦ったとき炊いたとき毎日研究をして、そのときそのときの造り方が違う、それが難しいけれど面白いところです。
豆は生き物ですね。