- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県川崎市
- 広報紙名 : かわさき市政だより 2025(令和7)年8月1日号
今年も夏休みの時期がやってきました。夏休みといえば、自由研究を連想する人も多いのではないでしょうか。今回の特集では“川崎の強み”を研究テーマに、データを切り口として、いろいろ調べてまとめてみました。川崎が持つ多様な強みの中から3つ、深掘りして紹介します。
【1】環境先進都市 川崎
令和7年3月に発表された環境省による調査で4年ぶりに、1人1日当たりのごみ排出量が政令指定都市1位(最少)に!
全国平均851gに対し、川崎市民は730gという結果。月換算すると1人当たり約3.6kg(45Lのごみ袋1つ分程度)も少ないんです。これだけの量を、市民155万人分減らせているなんて、本当にすごいことですよね。
令和元年度:1位 804g
2年度:2位 809g
3年度:2位 792g
4年度:2位 767g
5年度:1位 730g
●どうして1位に?~川崎とごみ排出の歴史
今でこそ、毎年ごみ排出量の少なさが政令指定都市で一二を争う川崎市ですが、かつて危機的状況に陥ったことがあります。
急激な人口増加と経済発展の影響で、平成2年にごみ排出量が市内のごみ焼却処理能力の限界に迫り、市は「ごみ非常事態」を宣言して市民や事業者などにごみを減らす協力を呼びかけました。これを機に、リサイクルを中心とした資源循環型社会の構築を目指して、現在までさまざまな取り組みを進めてきています。
川崎市映像アーカイブで当時の様子が分かる動画を公開しています。
◇ごみ排出に関する取り組み年表
昭和期:収集車を開発し、自動車によるごみ収集を開始
平成2年:ごみ非常事態宣言
平成7年:廃棄物の鉄道輸送を日本初導入
平成25年:プラスチック製容器包装の分別収集を全市で実施
平成31年:EVごみ収集車を日本初導入
令和6年:川崎区で先行してプラスチックの一括回収開始
令和8年:全区でプラ一括回収実施予定
●地道な努力が実を結ぶ~川崎市民の活動
◇廃棄物減量指導員の活動
町内会・自治会などの団体から推薦を受けて活動するボランティアリーダーとして、地域でごみ減量の啓発や分別方法、リサイクル活動実践の指導などを行っています。
◇生ごみリサイクルリーダーの活動
生ごみリサイクルに関する熱意と識見を持った市民を認定しています。活動内容は、生ごみの堆肥化に関する相談対応や、講習会の開催、小学校での体験学習の実施など。
市民の皆さん一人一人の意識が高まったおかげで、1位に輝くことができました
●未来へ向け~川崎の新たな挑戦
これまで、さまざまな環境問題に取り組んできた川崎市。今度は地球温暖化に立ち向かうべく、令和2年に「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定し、市民、企業の皆さんと一緒に、脱炭素社会の実現を目指して挑戦しています。
◇脱炭素アクションみぞのくち
脱炭素モデル地区の高津区溝口周辺地域では、脱炭素化に向けた身近な取り組みや先進的な取り組みを集中的に実施しています。
楽しく脱炭素を学び、発信する「まるっとサステナキャンプ」に参加する花岡さん
「脱炭素アクションは、「生活に余裕のある人が」「ひとりで」「我慢して」やるものだというイメージを持つ人もいるかもしれません。でも私たちは、「誰もが」「みんなで」「楽しく」取り組める社会の仕組みを想像し、日々ワクワクしています。楽しい未来をつくるアイデアを一緒に考えてみませんか?」
【2】教育のまち 川崎
●毎年実施されている全国学力・学習状況調査で、学力・授業理解度が共に向上!
◇学力
・小学6年生
国語:8位(平成31年度)から3位(令和6年度)
算数・数学:1位(平成31年度)から2位(令和6年度)
英語:調査なし
・中学3年生
国語:5位(平成31年度)から3位(令和6年度)
算数・数学:11位(平成31年度)から2位(令和6年度)
英語:3位(平成31年度)から1位(令和5年度)
20政令指定都市中の順位
◇理解度
・小学6年生
国語:83.2%(平成27年度)から88.1%(令和6年度)
算数・数学:78.8%(平成27年度)から82.2%(令和6年度)
・中学3年生
国語:74.2%(平成27年度)から84.3%(令和6年度)
算数・数学:70.6%(平成27年度)から76.1%(令和6年度)
◇学習環境の整備も!
令和4年度までに全校のトイレを整備
↓
公立小中学校のトイレ洋式化率
政令指定都市第1位の93.5%に!
●ここがすごい!~みんなで育てる川崎の教育
◇工夫を凝らした授業
受動的に学ぶだけでなく、実際に書く・話す機会を設けるなどして学力向上に取り組んでいます。また、一人一人の多様な学習状況に対し、1つの学級を2つに分けたり、2人の教員で見たりするなど、きめ細かな指導を行っています。
◇地域の寺子屋事業
学校教育だけでなく、地域ぐるみで子どもたちの学びや体験を支える仕組みづくりを進めています。地域の寺子屋では、元教員、地域住民、学生、保護者などさまざまな人が寺子屋先生として活動しています。
先生兼コーディネーターとして5つの寺子屋を支える池上さん
「9年前、わが子の勉強場所がほしくて、枡形中学校の寺子屋立ち上げに携わりました。最初は知り合い同士で小さく始めた活動でしたが、今では学校の垣根を越えて集まる子どもたちと、高校生からシニアまで多世代のスタッフとが学び合う場になっています。」
●こんなことも!~多様な学びの機会
◇かわさき電子図書館
令和5年度から利用開始した電子図書館には、読み放題の児童書、アニメーション付きや多言語の絵本、中学・高校生向けの小説などさまざまな本がそろっています。また、市内企業から寄付を受け、子どもが楽しめる本を集めた棚を設けています。
◇川崎市子ども会議
平成14年から続く、子どもたちが身近な市政について話し合う会議です。月2回程度開催していて、市内在住・在学の小学4年生~18歳なら誰でも参加できます。子ども同士だけでなく、大人とも議論しながら意見をまとめ、年に1回、市長に直接提案しています。