健康 加茂養生訓 18

(人、生じて後は、飲食の助けによりて、元気養われて命を保つ)
ー生活習慣病の予防 その1-高血圧症の4ー
加茂病院 富所 隆

この原稿を書いている今は、夏です。今年の夏も暑くて暑くて、いったい地球はどうなるのでしょ18うか。夏と言えば、『夏休み』。1年で一番楽しいイベントがこれでした。朝から晩まで何の気兼ねも無く遊べ、熱ければプール、海での海水浴など、輝く思い出に事欠きません。
夏の海と言えば海水浴。皆さんも泳いでいて、幾度となく顔をしかめたことがあるのではないですか?海の水は塩っ辛くて、とても飲めたものではないですよね。海水の塩分濃度は、平均で約3.5%です。一方、病院にいると、よく患者さんから、『こんなに薄いみそ汁など飲めたものではない』とお叱りを受けます。一般家庭の味噌汁の塩分濃度は、約1%程度で、病院では0.7%程度の減塩みそ汁を提供しています。その分、だしのうまみをより感じられるように工夫しているのですが…。

さて、人が生きていくために塩は必要なミネラルです。塩分が不足すると疲労感、めまい、立ちくらみ、吐き気、食欲不振、などいろいろ困った問題が起きてきます。一方、取り過ぎれば、高血圧、むくみ、動脈硬化、腎臓病、心臓病、脳卒中などのリスクを高めます。現在多くの日本人が食べている一日の塩分摂取量は10g前後です。ですが、厚生労働省の目標は、男性7.5g未満、女性6.5g未満で、まだ大きな開きがあります。
私たちがよく食べる食品の中の塩分量は「ラーメン(平均5.6g)」「カレー(平均3.0g)」「パスタ(平均3.6g)」です。いずれも1食で『1日の塩分目標摂取量』の半分前後に達する可能性があります。

アンケート調査をみると、「今後は減塩に取り組みたい」と回答した人は7割以上(73%)と高い数値。20代でも6割以上が「取り組みたい」と考えており、年齢があがるにつれて「取り組みたい」人の割合は増加傾向。ですが実際に取り組んでいる人は3割以下という悲しい結果が出ています。
『ラーメンを一滴の汁も残さず完食しました!』などと言ってる場合ではありません。