くらし 災害医療[3]

加賀市医療センター病院長北井です。北陸は地震や水害、雪害など、古くから災害を克服してきました。能登半島地震で加賀市の医療現場でどのように対応したか、前二号で書かせていただきました。具体的なお話をしようと思います。能登から多くの人が二次避難のために加賀市にこられ、市をあげてさまざまな職種の人が対応しました。医療現場で困ったことは、どのような病気の人が、どこのホテルにいるかがわかりません。病院なら第二病棟は内科、第三病棟は整形外科とわかるのですが、二次避難所は病院ではないので、いろいろな病気を持った人が、複数のホテルに散らばっているという状態でした。自家用車がない人もおり、病院にアクセスできません。二次避難所から病院や診療所に薬を求める人は市役所やボランティアによって移動されました。市役所の人は、通常の業務に加え、震災対応もされて本当に頭が下がる思いです。総勢で1,700人を超える避難者を運び、薬の処方や医療につなげられました。謙虚な石川県人、市役所の人は自分たちでその貢献を声高に主張されませんので、私が代わりにこのコラムでみなさまにお知らせしたいと思います。保健師も全国12の地域から来ていただき、二次避難所を回り、健康を害していないか見回っていただきました。すばらしい保健師のネットワークです。逆に日本全国で災害があったとき、加賀市の保健師さんが派遣され活躍しているのです。