文化 特集(2) ふくい千年文化

歴史、文化、豊かな自然…。
ふるさと福井が育んできた これまでと、これからの千年を訪ねます。

■Vol.5 伝統と改革、住民の手で 小浜放生祭(ほうぜまつり)
≪小浜市≫
若狭地方最大の秋祭り「小浜放生祭」は小浜男山の八幡神社例大祭で、氏子による大太鼓や神楽(かぐら)、獅子、山車(やま)など多彩な演し物が旧市街地を巡ります。これらの演(だ)し物(もの)は江戸時代まで天王社(現在の廣嶺神社)の祇園祭に出ていたもので、その歴史は約380年以上前にさかのぼります。
小浜放生祭の演し物は、京都・祇園祭の山鉾と同じく、疫病送りのためのものです。山車の宮入で、テンポの激しい囃子(はやし)とともに神社へ走り込むのは、山車に集めた疫神や悪霊を最後に送り出す場面だと考えられます。三匹獅子舞や江戸型山車の影響なども見られ、京と江戸の文化を取り入れながら、小浜独自の発展を遂げてきたことがわかります。現在では、日本遺産「御食国(みけつくに)若狭と鯖街道」の構成文化財にもなっています。
長く地元の人々だけに親しまれてきたこの祭りは、30年ほど前、若者たちが伝統を再構築し、地域内外の人々と共に楽しむ祭りへと生まれ変わりました。各地区で巡行する演し物が勢揃いする「宵宮(よいみや)勢揃い」という見どころも加わったほか、昨年からはGPSを活用し、各演し物の位置をスマートフォンで確認できる仕組みも導入。歴史と革新が交錯しながら、小浜放生祭は伝統を未来へとつないでいます。

▽TOPIC
令和7年度 小浜放生祭
9月13日(土)14日(日)開催。12の地区がそれぞれ大太鼓、神楽、獅子、山車に分かれて区内を巡行します。13日の16時頃には、まちの駅周辺に集結。各地区の特色を生かした演し物の披露や共演が行われます。
※天候により変更の場合あり

お問い合わせ:若狭おばま観光案内所
【電話】0770-52-3844