- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県鯖江市
- 広報紙名 : 広報さばえ 令和7年4月号 通常版
■第363回 文化財編(40) 参詣者仰ぐ赤瓦、徳龍ゆかりの福(さいわい)の寺
康永元年(1342)、鯖江本山誠照寺4世良覚の隠居地として本山西方に福の寺地を求め、日野川の深淵に近い景勝地「蛇頭(じゃのかしら)」に徳龍山西福寺(さいふくじ)(西之坊)は開かれました。
本山の後見役として一向一揆との対立や豊臣秀吉の焼き討ち、藩屏(はんぺい)たる誠長寺(じょうちょうじ)(東之坊)・常楽寺(じょうらくじ)(北之坊)の離反などの苦難を共に越え、元禄5年(1692)、西福寺は復興の途にある本山と代官屋敷(鯖江藩立藩後は御殿)の間(現在地)に移されます。西福寺本堂建立の翌年には本山への往復路として幅7尺(約2.1m)、長さ36間半(約66.4m)の「大門道(だいもんどう)」が寄進され、赤瓦が美しく照る門前は人々の行き交う声で彩られました。
参詣者を迎える山門は本柱の後に控柱2本を建て、切妻屋根をのせた「薬医門(やくいもん)」で、一説に城門の一種「矢喰門(やくいもん)」を語源とするといいます。また、寺院の「山門(三門)」は「三解脱門」の略とも、寺院が山号をもっていることに由来するともいわれます。
西福寺山門を見上げると、誠照寺から西福寺へと続く甍(いらか)の波が眼(まなこ)に映ります。大門道に立つ私たちの前には、昔も今も浄土の教えが開かれているようです。
(文化課 藤田彩)
◇平成25年度指定の市指定文化財(1)
西福寺山門(本町)
平等会寺鐘楼(平井町)