くらし [特集3]スマホ世代よ、地域をアップデートせよ!地域内発型DX始動

スマートフォンでSNS*を楽しんだり、ネットショッピングをしたり――。私たちの生活の中で、デジタル技術は当たり前のように使われています。
でも「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞くと、「なんだか難しそう」「自分の生活には関係ない」と感じる方も多いのではないでしょうか?
*文章や写真、動画などをネットワーク上に投稿して多くの人と交流するサービス。Social Net working Serviceの略。

■DXを普段使いに
山梨県が目指すのは「地域内発型DX」。県内で育てたDX人材が地域の課題を解決し、全ての県民がデジタル技術を〝普段使い〞できる社会づくりです。外部の優れた技術も取り入れながら、県内でデジタル技術を使いこなせる人材を育て、さらに次世代へもつないでいくことで持続可能な地域づくりを進めています。
昭和町の理容室「ヘアーハウスオガワ」は、あることをきっかけに来客数が2倍以上に伸びました。成功の秘訣は県の「DXリテラシー向上事業」を活用したこと。まず、Googleの「ビジネスプロフィール」という機能を使い、Googleマップに登録されている店舗の情報を充実させました。そして、ネット予約システムを導入したことで24時間予約が可能になり、特に若い世代の新規客が増加しました。サポート担当者のアドバイスでInstagram*も充実。「タブレットで予約状況を確認できるし、順調に来客数が増えて助かっています」と小河航太さん。
父・紀彦さんの店舗の一部を自分の仕事場にしていて、DX導入から半年で売り上げが2・7倍に増加しただけではなく、予約管理の手間が省けるなど効率的な経営にもつながっています。
*写真や動画の投稿をメインとしたSNS

■人口減少にも
山梨県がDXを推進する背景には深刻な人口減少問題があります。「今は困っていないから」と対策を先送りにすると、5年後、10年後には地域のサービスを維持できなくなる可能性があるためです。そこで県は、デジタル技術を活用して業務効率を高め、限られた人員で質の高いサービスを提供できる体制づくりを支援しています。
県は中小企業のDX支援に加え、次世代を担うDX人材の育成にも力を入れています。その一環として、大学生向けの「DXリーダー育成研修」を実施。9日間の集中研修を通じて、ウェブデザインやSNS活用、動画制作などのデジタルスキルを習得できます。2024年度には約30人のDXリーダーが誕生しました。修了生には県から認定証が発行されることもあって、就職活動でのアピールポイントにもなっています。さらに、習得したスキルを生かして企業支援に携わることで実践的な経験を積みながら、成果に対する報酬も得られる環境を提供します。
DXリーダーは、中高生の指導役も担います。県は、DXを学んだ人材が次の担い手を育て、成長した人材がまた次世代を育成する、こうした人材育成が継続していく「DX人材育成エコシステム」の確立を目指しています。
富士吉田市の老舗織物メーカー「テンジン」では、「日本の伝統技術を世界に発信したい」と考えていました。この思いを実現するため、育成したDXリーダーが同社と協働。「ハタオリの街」に出動した大学生3人は、イベント出展用のプロモーション動画や営業用のチラシを制作してくれたそうです。テンジン代表の小林新司さんは「昔ながらの織機で製造したリネンの良さが伝わったら嬉しいです」と話していました。

■新たな一歩を!
「でも、自分にはまだ早いかも…」そのように感じている方も心配はいりません。
25年3月からは、DXリーダーが中小企業向けのDX支援を行う「デジサポ!やまなし」がスタート。Webサイトの作成やSNSの活用など、DXに関するちょっとした相談から支援まで対応してくれます。
「まずは使ってみよう」という気持ちが、DXの第一歩です。山梨県は皆さんのDXを全力でサポートします!

問い合わせ先:DX・情報政策推進統括官
【電話】055-223-1720【FAX】055-223-1421