しごと [巻頭特集]#デジサポにお任せ!(1)

■DX導入で中小企業支援 大学生が若い感性で伴走
中小企業の悩みを、大学生がデジタルの力とアイデアで解決するー。
そんな仕組みを生み出すDX推進支援プラットフォーム、「デジサポ!やまなし」が本格的にスタートしました。

「SNSを活用したいけど、社内に詳しい人がいない」
「ホームページを作りたいけど、誰に頼めばいいのか分からない」
ーそんな”ちょっとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)”の悩みを、山梨県の大学生たちが力強くサポートしています。

◇case.1
甲府市で50年以上にわたりジュエリーの製造・販売を行っている「株式会社石友」。職人技と洗練されたデザインで顧客の信頼を築いてきた老舗企業です。
「若手採用をもっと強化したい」というお悩みに、大学生DXリーダーたちが取り組んだのがリクルートサイトの再編でした。これまでは、自社サイト内に掲載していた「採用に関する情報」が埋もれ、すぐにたどり着けない状況でした。そこで、独立したリクルートサイトを新たに制作することにしたのです。
担当した大学生の一人、さっちさん(山梨大学4年)は「情報を整理し、『一番伝えたいこと』を視覚的に表現する」ことに注力したそうです。ジュエリーを扱う会社の「上品な雰囲気」を大切にして、魅力を引き立てるデザインを意識しました。また、もともとのサイトには載っていませんでしたが、「手厚いと感じた福利厚生の情報も盛り込みました」。こうした着眼点は、さっちさん自身が就職活動を経験し、多くの企業のリクルートサイトを目にしてきたからこそ気付けた点です。
完成したリクルートサイトについて、株式会社石友の宮沢知明さんは「応募者数が減りつつある現状を打破できたら」と期待を寄せました。

〔困り事〕写真とかはあるんだけど効率的にリクルートできないかな??
ジュエリーの企画デザインから製造出荷まで社内一貫生産を行う「株式会社石友」には、さまざまな工程や職種に携わる約70人の従業員がいます。意欲ある若手社員の採用が課題でした。
〔解決策〕素敵なリクルートサイトを提案してもらいました!
さっちさんら大学生の「DXリーダー」が、会社側の要望を聞きながら2カ月かけて制作したリクルートサイトの一部画像です。ブランドイメージを大事にしたいと、レイアウトやフォント、色合いなどを何度も調整したそうです。

◇case.2
甲斐市にある個人経営店「爪の美容院Cuore(クオーレ)」も、大学生の協力を得てDXの大きな一歩を踏み出したお店の一つ。地域には珍しいドイツ式フットケア専門店で、2021年の開店以来、老若男女に愛されるお店ですが、店主の深澤智子さんにはある悩みがありました。
「大手予約サイトの掲載料がどんどん値上がりしていく中で、集客にかかるコストを抑えたいなと。でも、どうしたらいいか分からなかったんです」
そんなときに「デジサポ!やまなし」の存在を知り、相談してみることに。大学生DXリーダーのあしゅりーさん(山梨大学3年)らと一緒に、集客コストの削減、お店の認知度向上に取り組みました。
その施策の一つが、SNSによる発信の強化。インスタグラムのストーリー機能や、メディアプラットフォーム「note」を活用して、お店のことやフットケアについて積極的に発信していくことにしました。あしゅりーさんは「インスタグラムの活用法をアドバイスしたら、深澤さんが翌日からすぐに実践してくださり、『インスタグラム経由でお客さんが予約してくれたよ』と報告してくれたんです。うれしかったし、やりがいを感じました」と振り返ります。
また、大学生たちはお店のリーフレットも刷新しました。施術の様子を写真で分かりやすく説明しながら、深澤さんの似顔絵なども添え、温かみのあるデザインに。「もともとのリーフレットより分かりやすくなりました。若い人の発想は本当にすごいですね。大学生であってもまさにプロフェッショナルだったので、安心して任せられました」と深澤さん。大学生DXリーダーたちの働きは期待以上だったようです。