くらし 小海の自然 山菜(24)

文:故 畠山久紀

《ツリガネニンジン(トトキ)》
キキョウ科
5月中旬~6月上旬

チョウセンニンジンのような太い根と、釣り鐘状の花形からついた名前だが、昔からトトキの名で親しまれた山菜である。日当たりのよい山野にはえる多年草。葉は丸みのある長楕円形で、縁にはギザギザがあり、3~5枚が茎に輪生する。茎は直立して50~100cmになり、全体にやわらかい毛がある。茎を切ると白い液体がでる。夏から秋にかけて枝先に円錐花序をつくり、釣り鐘状の青紫色の花が咲く。根は、地中深く伸びて直径3cmほどに肥大する。種子を採取し、春まきにすれば、比較的楽に栽培できる。

■食べ方
若芽を摘みとり、ゆでてから水にさらし、おひたし、あえもの、椀だねにする。生のまま天ぷら、汁の実にしてもおいしい。
花は、そのままサラダなどの飾りにしたり、サッと湯に通して椀だねにすることもできる。
根は、一年中とれるが、できるだけ太いものを選び、ささがきにして水にさらしアク抜きをしてから、ゆでて調理する。あえもの、煮物、キンピラにしたり、柳川風に卵でとじてもおいしい。また、塩漬けやみそ漬け、粕漬けなど、漬けものにしてもよい。
根を乾燥させた沙参(しゃじん)は、たん切り、せき止めに役立つ。