- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県上松町
- 広報紙名 : 広報あげまつ 令和7年4月号(731号)
■前町長 大屋誠
歳月の流れは早いもので、平成29年3月に執行された選挙により上松町長に就任して以来、8年が経ちました。昨年12月議会で二期目の任期末を以って町長を退任することを表明し、この4月4日で退任させていただきました。
就任以来、町民の皆さんの負託を受けて務めさせていただいたことに心より厚く御礼申し上げます。
上松町の100年の歴史において私は16代目の町長となりますが、これまで務めてきた皆様は、すべて町三役や町議会議員経験者であり、町の隅々まで熟知されている時代のリーダーでした。
県職員としての行政経験はあるものの、職員の顔も町民の皆さんの顔も初めて会う方も多く、恐らく職員も、町民の皆さんも「今度の町長は何をやるんだろう?」と思った方も多かったのではないでしょうか。
私自身も選挙に当たっては公約を掲げたものの、いざ具体的に「何から手を付けたらいいんだろう」、「何ができるんだろう」と不安いっぱいの就任当初であったと思います。
その頃の一番の思い出としては、職員から「町長、庁舎建設はどうするんですか」と椅子を温める間もない就任直後に云われ決断を迫られました。国からの支援を受けるには申請期限が迫っており、早急に進めないと間に合わないとのことでした。基金の積み上げはあるものの財政的な状況をヒアリングすると国の支援を受けない場合、単純計算約10億円事業として考えると、30年先、40年先になってしまうと考えました。
当時の旧庁舎の町長室は、JRの列車が少し距離のある上松駅を通過すると床が揺れて驚いて職員の執務室まであわてて出て行って「今地震が来なかった?」と聞くと職員は「???」という顔をしていたのを思い出します。
建物の耐震診断について聞くと、建築から70年経過しておりコンクリも劣化しているので調査をやるまでもないとの回答がありました。また前年に起きた熊本地震により八代市の庁舎が一階部分を押しつぶして崩壊したということが起き、国が初めて庁舎改築に支援をする制度を立ち上げており、そのような状況もあり、庁舎建設が一番初めての大きな決断となったのを覚えています。
私は自ら町の行政情報や地域の明るい話題を取り上げて発信することに取り組むことも公約の実現の一つとして考えブログを立ち上げました。情報発信の手立てには今はSNSやLINEなど当たり前となっていますが、その頃の私はブログなるものの知識も無く、どういうもの?どうやればいいの?など、分からないだらけからのスタートでした。
「日記のようなもの、毎日アップすることが重要ですよ」などのアドバイスを受けてのスタートでしたが、小学校の夏休みの時に日記を付けるという宿題がありましたが、それさえも休みの終盤の3日前くらいにあの日の天気は?など思い出しながら追い込みをしていたトラウマがあり不安一杯で始めました。
“あげまつ彩時記”と名付けたブログは長野県で有名な「ナガブロ」のグループの中にありますが、幸い現在(3月末)まで続いており、ナガブロ2万763ののブログ中35位(3月21日現在)、今まで閲覧していただいた件数は延べ23万4千に及んでおり、毎日更新される数字が励みになっていました。私が人生の中で一番続いた取り組み?こと?であったと思います。
そのブログには読んだ方からのコメントが寄せられ、それも励みになりました。平成29年10月に行われた伊勢神宮斧入れ式では伊勢に住んでいてブログをやっている方から「興味深く拝見させていただきました。多くの方に知ってもらうために勝手に記事を紹介させていただきました」という心温まる言葉もいただきました。また、いつもは一日平均100件前後の読者数ですが、この斧入れ式の記事には、いきなり一日で400件を優に超え、現在では2,077件と全記事中トップとなっており、さすがは”伊勢様”と感心しました。
平成29年6月30日にスタートしたブログの中で印象的な思い出深いものを写真入りと思い出のコメントも含めちょっとご紹介したいと思います。
▽2017年7月29日 上松っ子!甲子園へ 松商井領くん甲子園出場
上松には大相撲の御嶽海関、プロレスラ-“エイタ”、また、中学校フットサルの活躍など、他の町村の方がうらやむ若い力が躍動しました。
▽2019年4月29日 繋ぐ春祭り(若宮神社例祭)
上松には獅子神楽、装束も鮮やか、そして勇壮な太々神楽などが伝えられています。この年の若宮神社の祭礼は町無形文化財獅子狂言“葛の葉”を継承していた小林さんが急逝し、それを若い人に伝えていく意味で忘れられないお祭りとなりました。それぞれのお祭りで氏子の皆さんと酌み交わした美味しいお酒の味が忘れられません。
▽2019年6月4日 地区行政懇談会始まる。(写真は倉本、立町、荻原地区)
お声をかけていただいた地区に職員ともども出かけてお話を聞く貴重な機会となりました。参加していただいた皆様ありがとうございました。
※写真は本紙をご覧ください。
▽2020年2月4日 上松町新庁舎建設工事安全祈願祭
この日からいよいよ建設工事が始まりました。
▽2021年4月26日 役場新庁舎竣工式
待ちに待った新庁舎の竣工式が行われました。翌日、ヒノキの香りが包む庁舎を来庁された町民の皆さんにお披露目されました。
▽2021年8月20日 避難指示解除、断水復旧
宮戸沢土石流により断水していた立町、倉本地区の断水が仮復旧しました。復旧作業に終日当たっていただいた建設業者の皆さん、給水作業に一軒、一軒重いポリタンクを運んでくれた職員、そして励ましの言葉をいただいた地元住民の皆さんに心から感謝です。
▽2022年1月31日 ワクチン接種の是非
新型コロナ感染症拡大を受けて始まったワクチン接種について話題としました。故大脇先生や芦沢先生、木曽病院の先生のご協力を得ました。
足掛け四年余りの長い戦いでした。
▽2022年11月7日 町政施行100周年記念式典
11月3日に行われた後藤経済再生担当大臣他多くのご来賓を迎えた記念式典となりました。また、これを記念して駅伝大会がスタートしました。まさしく歴史のタスキをつなぐイベントとなりました。
たくさんありすぎて、ご紹介出来ない記事はありますが、改めてこの八年間を振り返るといろいろあったと思います。なお、ブログ“あげまつ彩時記”は今後も少しずつアップして地域の話題などお届けしたいと思っております。
この間、町民の皆様にいただきましたご厚情に対し、お一人おひとりにお礼を申したいところですが、本紙面を以って代えさせていただきます。
私も、今後、一町民として上松のまちづくりに出来ることに協力してまいりたいと考えておりますので、その折にまたお会いできれば幸いです。
上松町の益々のご発展と皆様の更なるご活躍を祈念いたしましてお礼の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました。