スポーツ 島田人 Shimadajin File #161

■応援してくれる人に恩返しできるプレーを目指して
日本FIDバスケットボール日本代表
塚本今日香(つかもときょうか)さん(野田)

知的障害者のバスケットボール大会を運営する日本FIDバスケットボール連盟(以下「FID」)。その日本代表選手に選ばれた塚本さんは、6月にカザフスタンで開催されたVirtus World Basketball Championships(ヴィルトゥス・ワールド・バスケットボール・チャンピオンシップ)に出場し銅メダルを獲得しました。

■憧れ続けた日本代表
お兄さんの姿に憧れてバスケットボール(以下「バスケ」)を始めた塚本さん。日本代表への道のりを振り返ります。
「兄の姿を見て始めたバスケですが、シュートを決めたり、試合に勝ったり、すぐにその楽しさに気付きました。高校生の時には、学校の部活動の他に、静岡クラブという知的障害者の選手が集まるチームにも所属。そこから、県選抜に選ばれ、東海北信越大会に出場しました。そこで、FIDに声を掛けてもらい、全国の若手育成キャンプに参加するようになりました。2年前、日本代表候補になったものの落選した悔しさがあり、今回代表になれたことは本当にうれしかったです」

■初の大舞台でつかんだ大金星
「大会中は、会場の雰囲気や海外選手の体格差に圧倒されてしまい、ずっと緊張していました。予選リーグは2位で勝ち抜きましたが、決勝トーナメントは残念ながら準決勝で敗退。3位決定戦のフランスとの試合は、緊張からか思うようなプレーができず、序盤は相手ペースの試合展開でした。しかし、3点を追う場面で連続ポイントを決めたことで逆転し、流れが変わりました。驚いたのは監督の指示をかき消す程の男子チームからの応援の声。さらに地元の人たちからも『ジャポン!』と声が飛び交い、会場が一体となった声援に励まされました。その結果、フランスに逆転勝利し、銅メダルを獲得することができました」

■支えてくれる人に感謝
大活躍だった世界大会を終えた今、日頃から支えてくれる周囲の人への感謝を話します。
「世界大会で銅メダルを獲得したことは、本当にうれしかったですね。この結果を残すことができたのは、『必ずメダル持ち帰る』という強い思いの他に、会場で掛けてもらった温かい声援のおかげです。振り返れば、これまで多くの人にサポートしてもらってバスケを続けることができました。監督、コーチ、職場の皆さん、学校の先生、一緒にプレーしてくれたチームメイト、家族など。厳しいけれど、温かい目で見守ってくれる多くの人に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも試合で活躍し、勝利することで恩返しをしていきたいです。次の世界大会は金メダルを獲得して、いろいろな人に良い報告をしたいですね」
明るい笑顔と人柄で、出会った誰もが応援したくなる塚本さん。次なる世界の舞台では、表彰台のてっぺんから、最高の笑顔を届けてくれるでしょう。