くらし 《特集》私は私らしく、認知症と歩む(3)

■認知症とは
○認知症の原因と対策
認知症とは、さまざまな原因によって脳の細胞に障害が起こるなどし、記憶や判断力など認知機能が低下した状態が続き、生活に支障が出ている状態のことを言います。
認知症の発症に影響すると考えられている原因に、難聴、喫煙、生活習慣病(高血圧、肥満など)、うつ、活動低下、社会的孤立などがあります。難聴の人は補聴器を使う、喫煙者は早期に禁煙をする、生活習慣を改善するなどの対策が効果的です。また、定期的な運動習慣やバランスの良い食事、社会活動への参加や人との交流なども認知症予防に効果があると報告されています。

○加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い
加齢による自然な物忘れは、体験したことの一部分を忘れてしまいますが、認知症による物忘れは「いつ、どこで、何を」といった出来事や体験を全て忘れてしまう特徴があります。出来事の記憶を忘れてしまうため、「何度も同じことを言う」「決められた日を間違える」といったことが起こります。また、財布などをしまった体験自体を忘れてしまうため、「財布が盗まれた」と思い込むことがあります。

○認知症かなと思ったら
「もしかして認知症かも…」と思われる症状に気付いたら、一人で悩まず、早めにかかりつけ医や地域包括支援センターなどに相談しましょう。早期診断、早期治療により進行を遅らせたり、症状を緩和できたりする可能性があります。

◆増える認知症
認知症の人の数は令和7年には471.6万人、団塊ジュニア世代が65歳以上になる令和22年には584.2万人にのぼると推計されています。認知症の一歩手前の状態である軽度認知障害(MCI)も合わせると、高齢者の3人に1人が認知障害を有すると言われています。
(出典:厚生労働省「認知症及び軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」)

認知機能の障害:

加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い:

◆もっと認知症について知りたい人は…
ちょっと一息ついてもらえる認知症えぴそーど集
認知症の人の介護は、身体的・精神的にも負担が多いというイメージがあるかもしれません。しかし、実際の現場にはそのイメージとは異なる、心が温まるエピソードがたくさんあります。この本で認知症についての見方を変えてみませんか。
介護保険課、社会福祉協議会で配布しています。

■広がる、認知症への理解
認知症への理解を深めるための活動が広がっています。認知症を正しく知るための認知症サポーター養成講座や、認知症カフェが市内で開催されています。

◆認知症サポーター養成講座
認知症サポーター養成講座とは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対して出来る範囲で手助けをする「認知症サポーター」を養成する講座です。
人格形成の重要な時期にいる子どもや学生に対する講座の開催は特に重要なため、6月17日(火)、須山小で高齢者疑似体験と認知症キッズサポーター養成講座をセットで市で初めて開催しました。

○総合的な学習の時間で認知症を学ぶ
須山小5年生の総合的な学習の時間のテーマは「須山のみなさんの幸せ」です。「須山には高齢者が多く住んでいる」という意見から、福祉分野への探究が始まりました。
授業では、高齢者がかかりやすい病気や介護に関することなどを、グループに分かれて発表をしました。
高齢者疑似体験では、視覚障害体験ゴーグルや重り付きベスト、難聴体験イヤーマフを使い年齢による身体の変化を体験しながら学びました。
認知症キッズサポーター養成講座では、認知症の概要や、認知症の人の気持ち、接し方、声掛けのポイントなどを学びました。
藤川琴桜(こはる)さんは、「高齢者は視界が狭くなるので、これからは突然後ろから肩とかをトントンしないようにしようと思いました」と講座の感想を話しました。

○フィールドワークへ
須山小5年生は学んだことを生かし、地域の高齢者が集まる地区サロン「ごんべっこの会」に参加しました。サロンのメンバーに教えてもらいながら、一緒に七夕飾り作りをしました。
根上寿々花(すずか)さんは「大きな声で話せなかったから、次はもっとはきはき大きな声で話せるよう意識しようと思いました」と活動を振り返りました。
須山小から誕生した認知症キッズサポーターは15人。少しずつですが、地域で支える輪が広がってきています。

◇認知症サポーター養成講座に参加しませんか
認知症の症状や、接し方のコツを学ぶ講座です。認知症サポーターは、特別なことをする人ではありません。認知症を正しく理解し、認知症の人とその家族を温かく見守り、声掛けやちょっとした手助けができる地域の応援者です。
日時:11月19日(水) 13時30分~15時
会場:生涯学習センター
参加費:無料
申し込み:必要(広報すその11月号で募集)

問合せ:介護保険課
【電話】995-1821