くらし 《特集》私は私らしく、認知症と歩む(4)

■認知症カフェから広がる理解

◆運転を考える認知症カフェ
認知症カフェは、認知症に関心のある人が誰でも集うことができる交流の場です。運転を考える認知症カフェは、高齢者の運転と認知症について考える会です。
車の運転は、私たちの生活に深く関わっています。1日でも長く安全に運転するために必要なことや、運転を卒業した後の移動手段について元気なうちから考え、備えておくことが大切です。ライフステージの変化に応じた移動手段について一緒に考えましょう。
「たまには人を乗せて、自分の運転の癖や傾向を見てもらうことも必要だと感じました」と参加者は話しました。
次回の運転を考える認知症カフェは、令和8年1月31日(土)を予定しています。

◆金沢いきいきカフェ
認知症対応型デイサービスの金沢いきいきホームが、年に数回、地域の人を招いて開催している金沢いきいきカフェ。お茶を飲みながらいつか自分もなるかもしれない認知症について話をしたり、ゲームをしたりして交流を深める活動をしています。
今回で3回目になる金沢いきいきカフェには、大人と子ども12人が参加しました。「認知症は恥ずかしいことで、隠さなければならないと思われていた時代に生きてきました。認知症になってもできることが残っている病気ということが分かりました」と参加者は話しました。
「参加者が集まるかが心配でしたが、回を重ねるごとに人が増えています」と金沢いきいきホームの窪田さんは手応えを感じている様子でした。

◆みんなでほっとひと息♪認知症カフェへようこそ!
おしゃべりしたり、ちょっとした相談をしたり、ほっとできる時間を過ごしませんか。
認知症に関心がある人は誰でも参加できます。市内では4カ所で認知症カフェを開催中です。

○かぼちゃカフェ(左の写真)
かぼちゃカフェは、毎月第1火曜日にウエルシア裾野御宿店のカフェスペースで開催している認知症カフェです。

■やりたいことを続けられる地域社会へ

◆認知症の方にやさしいお店 チームオレンジすその
認知症になってもやりたいことをかなえる支援のネットワーク

認知症になっても、いつまでも自分のやりたいことを続けたい。その想いを地域社会で支えるしくみが「認知症の方にやさしいお店チームオレンジすその」です。
「認知症の本人が真ん中にいて、本人がやりたいことをかなえる」ことをミッションにしています。
令和5年度に始まったこの支援体制は、協力店舗と市役所、地域包括支援センター、社会福祉協議会がチームを組み地域を挙げて認知症への支援が必要な人のサポートをしています。支援の輪は徐々に広がり、18店舗が加盟しています(8月1日現在)。

○持って安心!使って便利!希望をかなえるヘルプカード
ヘルプカードは、ひとりでの買い物や外出に不安のある人が、周りの人に自分が望むことやお願いしたいことを書いておき、必要な時にだけ見せて使うカードです。カードを使うことで、自分が望む社会参加を続け、地域で元気に暮らし続けることができます。
チームオレンジすその加盟店では、ヘルプカードを安心して使うことができます。カードは、介護保険課や地域包括支援センター、チームオレンジすその加盟店で配布をしています。

○地域でつなぐ、支援の輪
「認知症になっても、大好きな買い物を続けたい」という思いに寄り添うのが、チームオレンジすそのです。実際にスーパーとタクシー会社の連携で、自宅の住所が答えられなかった認知症の人が、買い物先から無事に帰宅できた事例もあります。
チームオレンジすそのに加盟しているタクシー会社にサポートを依頼することで、もしも外出先で自宅へ戻れなくなった場合でも、帰宅するための支援が受けられます。
市内に住むある女性は、チームオレンジすそののチラシを手に取りながら言いました。「うちの認知症の母は、最近同じものばかり買ってくるようになって、いい加減一人で買い物に行くのをやめさせようかなって思っていたんです。でも、行きつけのお店にチームオレンジすそのののぼり旗が掲げてあって…。もう少しこのまま、母を自由に大好きな買い物に行かせてあげようって思えたんです」。

◇チームオレンジすその加盟店
ウエルシア薬局、スーパーカドイケ、クリエイトエス・ディー、マックスバリュ(いずれも市内全店舗)、JAふじ伊豆すそのふれあい市、全日食チェーンひまわり佐野店、ミツワタクシー、山田商事(株)

◇チームオレンジすその加盟店募集中
認知症を正しく理解するための「認知症サポーター養成講座」と「オレンジスタッフ養成講座」を受講するとチームオレンジすそのに加盟できます。やりたいことを続けられる地域社会を、一緒につくっていきましょう。

問合せ:介護保険課
【電話】995-1821

チームオレンジすそのに加盟していた安全タクシー(有)の加藤富也さんは「裾野市はこういうの(認知症の人を個々で地域につなぐ取組み)に優しいよ。自分たちもいつか同じようになるかもしれないしね」とつぶやいていました。
※安全タクシー(有)は、7月31日(木)に営業終了

◆チームオレンジすその加盟店の声
認知症の方にやさしいお店 チームオレンジすその
スーパーカドイケ裾野東店 店長 関皓介(こうすけ)さん
常設しているのぼり旗を見たお客様同士が「あれは何だろうねぇ?」「認知症になっても大丈夫ってことだよ。みんな優しくしてくれるって」と会話されていて、メッセージは届いているのかなと感じました。
僕はお客様に何回同じことを聞かれても、何回でも答えようと思っています。認知症があってもなくても。お客様が困っていたらその都度手助けしたいです。