くらし 特集 戦後80年 つなぐ 記憶と想いのバトン(2)

2.遺族の想い 感謝と祈り
◆家族を失った遺族の、平和を願う想い
菊川市遺族会

戦没者への想いを胸に
かつて、多くの戦没者遺族が集い、戦争の悲しみや平和の願いを胸に活動してきた遺族会。現在は高齢化に伴い、以前より会員数や活動の機会が減少しています。それでも、家族を失った悲しみを訴え、平和の尊さを次の世代へ伝えようと、現在も364人(3月末時点)の会員で活動が続けられています。
主な活動の一つが、市内各地に建てられた「慰霊碑」の清掃と管理です。戦後間もない頃は、戦没者の妻たちが亡き夫を想い、始めたとされる慰霊碑の清掃。その想いを引き継ぎ、遺族会が自治会単位で草取りなどを行っています。同会長の鈴木榮(さかえ)さんは、「戦没者のおかげで今の生活があります。純真に国や家族の安泰を願い戦死した人たちに市民として感謝の気持ちをもってほしい。市内各地にある慰霊碑の前を通ったら一礼してくれる人が増えることを願っています」と話します。

遺族として切なる願い
今なお、世界各地では紛争が絶えず、戦争の脅威が過去のものではないことを私たちは実感させられています。遺族の皆さんの願いは、戦争を二度と繰り返さないこと。そして、今の平和が尊い犠牲の上にあることを忘れず、その感謝を語り継いでいくことです。戦争の終わりから80年に渡る遺族の皆さんの祈りと行動が、平和を守り続けています。

◇市内に残る戦争の記憶
戦争で亡くなった人々を追悼する「戦没者慰霊碑」は、学校や公園内など市内に40カ所以上存在します。遺族会や地域の人によって大切に守られた慰霊碑。戦争で亡くなった人の氏名が刻まれているものもあり、後世の人々へ戦争の悲惨さを伝え続けています。

◇過去の教訓を未来へ伝えること
それが平和への一歩ではないか
私は、戦争で叔父を失いました。家族を失った傷は80年経った今でも癒えません。戦争の恐ろしさを知らない世代が増えると、感情に流され再びあの悲劇が起きるのではないかと心配です。戦争は相手がある行為だからこそ無くすことは難しいと感じます。しかし、過去の教訓を学び平和を望む人々が少しでも増えるよう、私も自らの経験を活かして次世代につないでいけるよう努めていきます。
菊川市遺族会・会長 鈴木 榮(さかえ)さん

■「あの日」に想いを寄せてみませんか?
◇戦争に関する本の紹介
p17では戦争をテーマにした本4冊を紹介しています。紹介した本以外の本を知りたい人は、図書館ホームページ(左記)から「戦争」で検索してみてください。
※二次元コードは本紙をご覧下さい。

◇平和の祈りを込め、黙とうを
戦争で亡くなられた人々を追悼し、平和を祈念するため、サイレンの吹鳴を行います。それぞれの場所で1分間の黙とうをお願いします。

◇どなたでも参加できます
菊川市戦没者追悼式
市では、「先の大戦における戦没者に対し追悼の誠を捧げること」、「世界の平和を祈願すること」、「戦後の平和を永久に継続するため、戦争を知らない若い世代に戦争の悲惨さ、平和の尊さを再認識してもらうこと」を目的に、戦没者追悼式を毎年開催しています。
日時:8月15日(金)
時間:午前11時45分~午後1時15分
※開場…午前11時
会場:文化会館アエル大ホール
内容:
・全国戦没者追悼式中継
・式辞
・追悼のことば
・献花
・朗読…戦没者御遺族の手記
その他:会場内に、市内戦没者名簿を掲示します。

問合せ:福祉課社会福祉係(プラザけやき内)
【電話】37-1123

■~表紙の写真~
◇小学校
戦時中(昭和15年頃)の現・横地小学校児童たちの集合写真です。

◇竹槍教訓
古谷作業所での訓練の様子。本土に残された女性たちも決戦に備えていました。

◇家族写真
市内の服部房男(ふさお)さん(写真中央)が14歳の頃、入隊時に撮影された家族写真です。

◇堀之内駅
昭和15年の現JR菊川駅。駅舎の西側に軍事物資を積み下ろす作業場が作られました。

問合せ:市長公室広報係
【電話】35-0924