くらし YOU and IZUNOKUNI(あなたと伊豆の国) 第41回

鈴木(すずき)正伸(まさのぶ)さん
伊豆の国市制施行20周年記念「NHKのど自慢」チャンピオン

■夢に見たのど自慢出場で得た「仲間の絆」
市制施行20周年記念事業としてアクシスかつらぎで開催された「NHKのど自慢」。見事チャンピオンに輝いた鈴木さんの栄光の裏には、特別な思いがありました。
鈴木さんは、しゃぎりや和太鼓演奏で舞台に立った経験はあるものの、人前で歌うのは好きではありませんでした。しかし、10年前から奥さんの勧めでカラオケ教室に通い始めたところ、お孫さんも「じいじの演歌が好き」と言ってくれて、「いつかのど自慢に出てみたい」と、密かな夢を抱くようになりました。
お孫さんが亡くなるという悲しい出来事に見舞われたのは、広報紙でのど自慢の開催を知り、応募しようと思っていた矢先でした。悲しみの中、一度は応募を諦めかけた鈴木さんでしたが、生前のお孫さんの言葉を思い出し、奮起してのど自慢出場を決意し、予選会に臨みました。
「本番前は緊張した」と話す一方、舞台に立った経験から「あがることはなかった」という鈴木さん。本番では、歌い始めの記憶はなく、「始まったと思ったら、もう終わっていた」と極限まで集中していた様子です。チャンピオンに選ばれたときは何が起きたかわからず、「気づいたら両手を挙げていた」と興奮と感動の瞬間を語ってくれました。
番組放送後、多くの知り合いから声を掛けられ、テレビの影響力の大きさを実感。放送翌日の敬老会では、皆さんに「おめでとう」と言われ、「11月に韮山時代劇場でも歌うことになったので楽しみ」と語ります。
もう一つ、放送後に得たものは、「仲間の絆」。「のど自慢に出場した21人は、年齢も職業も違うけど、一緒に番組を盛り上げた仲間」だと言います。「孫が背中を押してくれたおかげで得た絆です」と笑顔を見せる鈴木さん。天国のお孫さんもきっと、喜んでいることでしょう。