- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県津島市
- 広報紙名 : 市政のひろば つしま 令和7年8月号
■手がカクカク動く…それ、「ばね指」かもしれません
津島市民病院 整形外科主任医長
山賀 崇(やまが たかし)
◇はじめに
はじめまして。4月より津島市民病院整形外科に赴任した山賀と申します。整形外科全般を担当していますが、その中でも特に専門は「手外科(てげか)」です。今回は、手外科の中でも、頻度が多い疾患の一つのばね指について、お話をさせていただきます。
◇手がカクカク動く…それ、「ばね指」かもしれません
「朝起きたら、指が曲がったまま戻らない」「指を伸ばすとカクッと引っかかる感じがする」このような症状、思い当たることはありませんか?それはもしかすると「ばね指」かもしれません。
◇ばね指ってなに?
ばね指は、手の指の腱(けん)や腱鞘(けんしょう)に炎症が起きて、指の動きに引っかかりが出る病気です。医学的には「狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)」と呼ばれます。指を曲げ伸ばしするたびに、腱が腱鞘の中を通るのですが、炎症によってその通り道が狭くなると、腱がスムーズに動けなくなります。そのため、指が曲がったまま戻らなくなったり、急に「カクッ」と動いたりします。
◇誰に多いの?
ばね指は、特に中高年の女性に多くみられます。更年期以降のホルモンバランスの変化や、家事や育児で手をよく使うことが関係していると考えられています。また、手を酷使する仕事や趣味がある方、糖尿病や関節リウマチのある方も注意が必要です。そのためもちろん、男性の患者さんもたくさんいます。
◇症状は?
症状は指の付け根に違和感を感じるところから始まり、進行すると痛みや腫れ、動かしにくさが出てきます。典型的なのは、朝方に症状が強く、日中は少し軽くなることもあるという特徴です。親指、中指、薬指に多くみられますが、どの指にも起こる可能性があります。
◇治療法は?
軽い症状であれば、安静にして指の使いすぎを避けること、湿布や痛み止めの内服などで様子を見ます。改善しない場合は、腱鞘内にステロイド薬を注射することで炎症を抑える治療を行います。それでも症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、手術で腱鞘を広げる処置(腱鞘切開術)を検討することもあります。手術は通常、局所麻酔で短時間に終わり、日帰りで行えることが多いです。
◇予防のためにできること
予防には、指を使いすぎないように注意することが大切です。パソコン作業やスマートフォンの操作、手芸などで手を酷使しすぎないようにしましょう。また、指や手首のストレッチを日常的に取り入れるのも効果的です。違和感を感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。