文化 柴田市長コラム 足下(そっか)に泉あり!vol.21

■大局観 ID:34636

今回の表題は、日本将棋連盟会長の羽生善治さんが平成23年に出版された本の書名です。ちなみに、副題は「自分と闘って負けない心」となっています。ご存じ、羽生さんは、平成8年に当時の将棋界の全7大タイトルを独占された棋界のレジェンドです。
令和6年9月22日、名古屋鉄道が日本将棋連盟と協力して、3月に続く、第2弾「将棋とれいん第二局」イベントが開催され、出席しました。当日は、瀬戸線栄町駅で瀬戸・尾張旭両市の小学生50人を乗せた専用列車が運行され、車内で将棋教室、終点の瀬戸では棋士による指導対局が行われました。この催しに羽生さんも参加され、お話する機会を得て、大感激をいたしました。
さて、「大局観」。よく使われる「大局を見る」と同じ意味ですが、私はこの語を覚えて以来、会社員時代、そして今の立場でも、組織論を語る時、金科玉条のごとく使わせてもらっています。
例えば、役所が新しい課題に対処する時、自分の部署のことだけではなく組織全体として捉え、果たして「是か非か」を判断することが肝要です。さらにもう一歩、大所高所から、地域全体の利益にまで、考えが及べば申し分ありません。
物事を見る時、多角的な視点を常に意識することが大切です。最近は、「虫の目、鳥の目、魚の目」という表現もよく使われます。順に、複眼的に、俯瞰(ふかん)的に、そして流れを見失うなということでしょうか。目指すところは同じです。ただ、言うは易く行うが難しで、私も人に繰り返し説くことで、自分自身に常に言い聞かせてしているようなありさまです。
羽生さんは、本の巻末に次のように書かれています。「人生は突き詰めてはいけないと思う」。時には肩の力を抜く=大局観ですね。