文化 柴田市長コラム 足下(そっか)に泉あり!vol.24

■「医は仁術」という矜持ID:34636

先月に続き、私の闘病ネタです。日本人が「医の倫理」と問われれば、「医は仁術」という格言が浮かびます。
主治医の先生は、2カ月間の入院期間のほぼ毎日、病室へ顔を出してくださいました。申し訳なくてお聞きすると、患者を心配しながら自宅で休日を過ごすより、10分でも診に出てきた方が、気が楽とのこと。「何年もそうした生活ですから」と、さらっと言われるのですが、何とも正に「仁」ですね。人命の最後のとりでとしての重責を、日々の普通のこととして受け入れておられる矜持に脱帽します。病状回復が実感できない日の「今日は良いですね」、気になる点の質問には「問題ありませんよ」の一言がどれだけ心強かったか。
また、看護師さんたちも想像以上に大変な日常です。特に外科では、術後、患者は体が動かせず、やむを得ず排せつ物などの汚物処理でお世話になります。「遠慮なくいつでも言ってください。誰でも当たり前のことですから」と明るく言われると、「そうだな。仕方ないよな」と、羞恥心を飲み込んで開き直ることができました。
コロナ禍の折、世間は医療従事者の皆さんをエッセンシャルワーカーと呼び、深い敬意を表しました。改めて、平時も変わることのない献身的な姿勢に、感動と共に感謝します。
最後に、江戸時代の医学者・教育者である緒方洪庵の「医戒」を紹介します。
「医師がこの世に存在している意義は、ひとすじに他人のためであり、自分自身のためではない。これが、この業の本旨である。ただおのれをすてて人を救わんことをのみ希(ねが)うべし」
医療という生業は、時代を超えてかくも崇高なのです。
P.S.健康診断、できれば人間ドックを受けましょう。技術も薬も日進月歩、現代ではほとんどの病気が治療可能です。ただし、早期の発見が必須条件ですよ。