くらし 特集 ともに、くらす いわくらにほんごクラス(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県岩倉市
- 広報紙名 : 広報いわくら 2025年8月号
■誰もが「いわくらしやすい」まちへ
工場が並ぶ自治体と隣接する岩倉市は、東新町にある岩倉団地を中心に、ブラジル人、ベトナム人、ネパール人など、多くの外国人が住んでいます。人口47,902人のうち3,765人が外国人で、外国人比率は約7.8%です(2025年6月末現在)。県内でも外国人の割合が高い本市では、国籍や文化、言葉の違いを超えて、地域の中でお互いに理解し合い、支え合いながらともに暮らしていく「多文化共生」が重要な課題となっています。
そのような中、日々の暮らしや地域との関わりの中で「日本語が分からない」という壁にぶつかる外国人も少なくありません。買い物や学校、子育てなど、当たり前のように思える日常も、言葉が通じないことで大きな不安や孤立を感じることがあります。そこで必要とされるのが、外国人が生活のための日本語が学べる機会と、日本人が外国人との対話の仕方を知る機会です。
市内の日本語学習支援の取り組みとしては、小中学校の「日本語・ポルトガル語適応指導教室」や岩倉市国際交流協会が実施する「日本語ひろば岩倉」などがありますが、今回は、その中から外国人と日本人がともに学び合い、相互理解を目指す活動を行う市民活動団体「いわくらにほんごクラス」を紹介します。
■いわくらにほんごクラスの成り立ち
岩倉市では、令和2年以降の新型コロナウイルス感染症の影響により市内の日本語学習の機会が激減したことを課題と考え、令和3年度に愛知県との共催で、市内において日本語支援の担い手を育てる「初期日本語教室向け指導者養成講座」と、日本語学習が初めての人を対象とした「はじめての日本語教室」を実施しました。
この取り組みを通じて日本語を学びたい外国人と、それを支えたい地域の人たちとの出会いが生まれ、「いわくらにほんごクラス」が設立されるきっかけとなりました。
教室は今も、ことばを学ぶだけではなく、人と人とが出会い、つながる「共生の場」として、広がりを見せています。
■INTERVIEW
いわくらにほんごクラスは日本語がほとんど話せない人を対象とした、対話型の教室です。それぞれの立場で関わる人に話をききました。
◆運営スタッフ
教室全体のコーディネートをしています。
▽国籍を問わず、良き隣人に
代表 継田さん
副代表 西村さん
副代表 山本さん
私たち「いわくらにほんごクラス」は、日本語を「教える」場所ではありません。文法や単語を暗記するような勉強をする場所ではなく、日々の対話の中で自然と日本語が身につき、「伝わる」ことを大切にしています。例えば、日本で生活するうえで、「こんなことを伝えたい」「こんなふうに言ってみたい」という気持ちを、日本語で表現できるようになること。それが、私たちの目指す「伝える力」につながっていきます。
クラスの参加者は、いわゆる先生と生徒という関係ではありません。日本語を学ぶ外国人と、日本語サポーターが対等な関係で対話しながら、日本語での伝え方や相手が伝えたいことの汲み取り方を、ともに学び合っています。分からないときには、母語を使ったり、翻訳アプリを活用したりしながら、どうしたら伝わるのかを一緒に考えています。
こうした「対話型」のスタイルが、クラスの一番の特徴です。学習者が積極的に日本語を使おうという気持ちになったり、サポーターが困っている外国人に自然に声をかけられるようになったりと、お互いに少しずつ変化が生まれています。
学習者の国籍もさまざまです。来日して間もない人にとっては、同じルーツを持つ仲間に出会える機会にもなっています。
対話のトピックは、愛知県のワークシートを活用しながら、クラスの進行役である指導者同士で話し合い、参加者にとって身近なトピックを選んでいます。参加者へのアンケートも参考にしながら、少しずつ内容を見直し、より役に立つ形へとアップデートを続けています。
私たちが目指しているのは、単に「言語を学ぶ場」ではなく、「人と人とをつなぐ場」です。地域で暮らす誰もが、相手のルーツや背景を尊重し、思いやりを持って関わる、そんな関係づくりの第一歩がここにあると信じています。
もし「日本語教室は堅苦しそう」「難しそう」と思っている人がいれば、ぜひ気楽な気持ちで遊びにきてください。子育てのこと、仕事のこと、日常の悩みなどを、自然と話せる場所。お互いのことを知り、安心できる居場所になれたら、うれしいです。
岩倉市という小さなまちの中で、いろいろな国の人と出会えるって、とても楽しいですよ。
◆日本語サポーター
学習者と日本語での対話を通じ、交流を深めています。
▽岩倉をもっと好きになる
サポーター歴3年 浅田さん
さまざまな国の人と知り合うことで、地域のことをより深く知るきっかけとなりました。岩倉市には素敵な人がたくさんいると実感しています。
▽異文化交流が楽しい!
サポーター歴6カ月 柴田さん
このクラスでは、国籍も年齢も関係なく、いろいろな人と出会えます。交流を通じて自分の世界も広がり、とても楽しいです。
◆学習者
日本語を身につけるため、参加しています。
▽伝わった喜びが自信に!
ブラジル出身 レナタさん
日本のことを知ったり、自分の国のことを知ってもらえるのが嬉しいです。
市役所での手続きを通訳なしで出来たことが自信になりました。
▽言葉の壁を越えて仲間に
ベトナム出身 バオさん
最初は日本語がほとんど話せず苦労しましたが、今では職場で日本人の同僚と日本語で会話を楽しむようになりました。