- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県弥富市
- 広報紙名 : 広報やとみ 令和7年7月号
伊勢湾台風から令和6年9月26日で65年が経過しました。このコーナーでは、現在ガイドボランティアとして活躍しているメンバーの被災体験を紹介します。
◆(11)何でもない食べ物が絶品
伊勢湾台風の日は両親と姉、祖父と家にいたが、土間に水がヒューッと流れ込んできた。父は「大変だ!」と言って、外にあった木舟が流されないよう確保しに行った。自宅は玄関を改築して中二階の部分を作っていたので、自分たちは布団をそこに上げた。上げ終わった頃に畳が水に浮いて、プカプカしだした。もっと水が上まで来るかもしれないと思って畳を中二階に上げたが、幸いそこまでの浸水で済んだので、そのまま就寝した。
翌日は舟で、飛島村にあった母の実家に向かった。そこで食パンを一切れもらって食べたが、ごく普通の食パンがびっくりするほどおいしく感じた。被災という衝撃的な状況から、食べ物を食べられるような状況に好転したからかもしれない。忘れられない印象的な出来事になった。
自宅はフキの農家をしていたが、畑が浸水してしまって農業だけでは生活が成り立たなくなってしまい、兼業農家になった。弥富の風景は小学校のころは砂浜のような印象だったが、伊勢湾台風を機にずいぶん変わったと思う。
馬ケ地、市野守(当時中学2年生)