- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県津市
- 広報紙名 : 広報つ! 令和7年3月16日号
■芸濃町林の閑翁寺(かんのんじ)
津市の北西部、芸濃町林の国登録有形文化財である旧明(あきら)村役場庁舎のある交差点を東に進むと、普門寺に達します。ここをさらに東へ進み、交差点を北へ向かって左折し坂道を下っていくと、道の東側に閑翁寺の伽藍(がらん)が現れます。
閑翁寺創建の時期については、根拠が明らかではありませんが、明治20(1887)年の「社寺由緒アル建物等調査」によると、平安時代末期の久安5(1149)年に建立されたと伝えられています。その後、戦国時代に織田信長の家臣・滝川一益(かずます)に焼かれ、全て灰燼(かいじん)に帰したと記述されています。
ただし、この伽藍は現在とは別の場所にあったとされ、寺伝によるとその当時の寺号は、観音寺と表記されていたとされます。
現在の位置に伽藍が整備されたのは、慶長2(1597)年のことで、この時に寺号は、前身の観音寺と同音の閑翁寺に改められたといわれています。
その後、本堂は江戸時代中期の宝暦年間(1751~1764年)に大破し、明和4(1767)年に再建されました。
また、本堂の東側には、亀山城もしくは亀山城主の山荘から移築されたものと伝えられている書院があり、平成10(1998)年に老朽化に伴う解体修理や改築が行われ、現在の姿となっています。このほか境内の南側には、戦国時代にこの地を治めたとされる林日向守(はやしひゅうがのかみ)の墓石が保存されています。
3月も半ばを過ぎ、春めく日々が増えてきました。林地区には、今回取り上げた閑翁寺のほかに、歴史的な景観を残す殿町の町並みなどたくさんの名所があります。うららかな春の日にゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。
※画像など詳しくは本紙をご覧ください。