- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県四日市市
- 広報紙名 : 広報よっかいち 4月上旬号NO.1666
■伊勢根付(ねつけ)職人 梶浦明日香さん
江戸時代から伝わる伝統工芸品「伊勢根付」。手のひらサイズの工芸品は、精巧で緻密な職人の技の結晶です。梶浦さんは、その美しさと匠の技に惹(ひ)かれ、アナウンサーから根付職人へと転身。注文生産をはじめ各地の展示会などへ出品し、人気を集めています。また、中部地方の女性職人らとグループを結成し、伝統工芸の魅力を伝えるPRにも尽力しています。
▽職人の粋な遊び心も細工に施す根付
根付は、和装で小物などを持ち歩く際に巾着などのひもに取り付け、帯に提げるための留め具として生まれました。中でも、「伊勢根付」は伊勢参りのお土産として人気を博しました。3、4センチほどの小さな彫り物で、題材は十二支や花鳥風月、家紋などさまざま。職人の粋な遊び心も細工に施しています。
彫刻の美しさはもちろんですが、たくさん触ってあめ色になることを「なれ」と言い、使い込むことで価値が増すと言われています。
▽当事者として伝統工芸を発信したい
アナウンサー時代、東海3県の職人を紹介する番組の企画を通して、多くの伝統工芸が後継者不足だと知りました。地域の宝が失われていくことに危機感を感じ、自分が当事者となって発信していきたいと根付職人の世界に飛び込みました。若さに価値が置かれがちな女性アナウンサーに対し、経験を積むほどに味わいが増す職人の世界にも感銘を受けました。2010年に師匠に弟子入りし、10年後に独り立ちしました。
▽異業種の女性職人らと「凛九(りんく)」を結成海外に目を向けた作品づくりを
職人は皆、作るものに誇りを持ち、日々研さんを積んでいるのですが、PRすることが苦手です。そこで、中部地方の女性職人9人によるグループ「凛九」を2017年に結成しました。職人の「凛」としたイメージや、異業種での「リンク」などの意味を込めました。伝統工芸の魅力を伝えるため、一人ではできない展示会の開催や、コラボ商品の企画などで互いに刺激を受け、助け合いながら活動しています。
モノを作るということは、想像や創造を生み出す楽しさがあり、人生を豊かにしてくれます。これからは、日本だけでなく海外にも目を向けた作品づくりに挑戦していきたいです。
4月放送のCTY-FM「よっかいち わいわい人探訪!」でも紹介します。(放送時間は(本紙)裏表紙へ)