くらし 【特集】国勢調査2025Census開始(1)

■国勢調査を実施します
私たちのまちが、より暮らしやすくなるように―その大切な一歩となるのが、5年に一度実施される国勢調査です。国勢調査は、外国人を含む日本に住むすべての人と世帯を対象にした、国の最も重要な統計調査で、このまちに今、何人住んでいて、どのような年齢構成で、どんな世帯構成なのか、どのような暮らしをしているのかを把握することを目的に実施されます。今回の特集では、調査の概要から、私たちの生活への関わり、回答方法などを紹介します。

■長い歴史を持つ統計調査
国勢調査は英語で「センサス(census)」といいます。この「センサス」という言葉は、古代ローマ時代に市民の登録や財産の評価、税金の査定などを行っていた職業に由来しており、国が行う統計調査の一部では今でも「センサス」という名称が使われています。日本で初めて国勢調査が行われたのは1920年(大正9年)のことでした。以来、終戦直後の1945年(昭和20年)を除き、時代の変化に合わせて調査項目を見直しながら現在まで途切れることなく調査が実施されています。

《国勢調査で回答する内容》
◎世帯員に関する事項
・氏名
・男女の別
・出生の年月
・世帯主との続き柄
・配偶の関係
・国籍
・現在の住居における居住期間
・5年前の住居の所在地
・就業状態
・所属の事業所の名称及び事業の種類
・仕事の種類
・従業上の地位
・従業地又は通学地
◎世帯に関する事項
・世帯の種類
・世帯員の数
・住居の種類
・住宅の建て方
全17項目

《国が行っている統計調査の例》
◎経済センサス
企業等の経済活動を把握し、企業等を対象とした各種統計調査の母集団情報を得るための調査
◎農林業センサス
農林業の生産構造や就業構造などの実態を明らかにし、農林行政の推進のために必要な基礎資料を整備するための調査
◎住宅・土地統計調査
住宅や土地、そこに居住する世帯の実態を把握し、その現状と推移を明らかにするための調査
◎労働力調査
全国の就業や失業の状況を毎月調査し、景気判断や雇用政策のための基礎資料を得るための調査

《国勢調査の主な活用事例》
▼POINT01 行政サービスの基礎資料に
国勢調査の人口データや年齢構成は、市区町村が将来の人口や世帯数の推計を行う際の重要な基礎資料となります。
また、子育て支援のための施策や高齢者への福祉対策などさまざまな行政サービスを検討する際の資料として活用されています。さらに、地方交付税の交付額の算定にも国勢調査の結果が用いられています。

▼POINT02 災害時の避難計画に
国勢調査では、人口や人口密度、昼夜人口(通勤や通学に伴う人口の流れと数)を把握できます。この情報は、地震や大雨などの災害が発生した際に、どこに避難所を設置すべきか、どのルートで避難誘導を行うかといった防災計画の策定に活用されます。命を守る備えにも、国勢調査のデータが生かされています。

▼POINT03 市場調査や出店計画に
企業が新たに店舗や事業所を開設する際には、その地域の人口構成や世帯数、労働力人口などの情報をもとに市場調査を行います。このとき、国勢調査のデータが活用されています。たとえば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの立地計画やマーケティング戦略の策定に役立てられています。このように、国勢調査は私たちの日常生活を支えるビジネスの現場でも広く利用されています。

▼POINT04 民意を国勢に反映するために
国勢調査のデータは、衆議院選挙の小選挙区を決める際にも使われています。
人口が大きく偏っていると、地域によって一票の価値に差が生まれてしまう可能性があります。そうした不平等が発生しないように、国勢調査のデータをもとに選挙区の区割りや議員定数の見直しなどを行い、国民の意向を平等に国政に反映させています。

その他の活用事例はこちらから
※二次元コードは本紙3ページをご覧ください。

■調査へご協力をお願いします
調査で得られたデータはさまざまな行政サービスを検討する際の基盤として幅広く活用されています。特に近年は、高齢化や少子化、働き方の変化など社会環境が大きく変わるなかで、これまで以上に正確なデータが必要となってきています。調査結果は、国や自治体が今後の政策を検討し、皆さまの暮らしやまちをより良くするために欠かせないものです。調査への回答にご理解とご協力をお願いします。

《COLUMN》
国勢調査が始まった1920年と比較すると、人口は約2倍になりました。また、世帯数はおよそ5倍になっている一方、1世帯あたりの人員は減少しており、夫婦のみの世帯や単独世帯が増えていることがわかります。

1920年 0.56億人 1,122万世帯 1世帯あたり人員4.89人

2020年 1.26億人 5,570万世帯 1世帯あたり人員2.21人

■「かたり調査」にご注意ください
「かたり調査」とは、行政機関が行う統計調査であるかのような紛らわしい表示や説明をして、個人情報や関係書類をだまし取ろうとする行為のことです。国勢調査では、金銭を要求したり、銀行口座やクレジットカードの暗証番号などを聞くことはありません。また、調査員は調査員証を必ず携帯しています。統計調査を装った訪問や電話、メールなどにご注意ください。