くらし 一人ひとりが開くジェンダー平等への扉
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- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県
- 広報紙名 : 滋賀プラスワン 令和7年夏号 vol.212
■「はて?」
違和感は対話を始める合図
インタビュー
「虎に翼(とらにつばさ)」脚本家 吉田恵里香(よしだえりか)さん
◆プロフィール
1987年、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説「虎に翼」、「花のち晴れ~花男NextSeason」(TBS系)、映画「ヒロイン失格」「センセイ君主」など多くの作品で脚本を手掛ける。NHK「恋せぬふたり」で第40回向田邦子賞を受賞。等身大の登場人物と社会課題に切り込む視点で、恋や人生のもどかしさを描く。
◆違和感をきっかけに、“対話”を重ねることが社会を変える
2024年に大きく話題を呼んだNHK連続テレビ小説『虎に翼』。
日本初の女性弁護士となり、戦後、裁判官にもなった三淵嘉子(みぶちよしこ)さんの実話に基づくストーリーです。社会の理不尽に直面しながらも道なき道を切り開く物語に込めた思いや、ジェンダー平等実現に向けて大切だと思うことについて、脚本家の吉田恵里香さんにお聞きしました。
▽何かをおかしいと思った瞬間から
「虎に翼」では、法曹界を舞台に、平等や自由という大きなテーマを書きました。主人公・寅子が世の中の常識に疑問を抱いたときに使う「はて?」という言葉―これは、相手を否定するわけではなく、相手と話し合いを始めるための“扉のノック”のような言葉です。抱いた疑問を言いやすい環境をみんなで作ることが、ジェンダー平等実現の第一歩。何かをおかしいと思った瞬間から対話は始まるのです。
これまで、年齢や立場、性別を超えて、多くの人の悩みや葛藤をすくいあげたいという想いで、様々な人の生きづらさに寄り添い、多様な問題を取り上げてきました。視聴者の方からは、「自分のことのようだ」と感想をいただくことも多く、一人でも多くの人の、自分事として考えるきっかけになったことを嬉しく思います。
▽「自分の選択肢は自分が持つ」大切なのは一人ひとりの意識改革
作品づくりの中で、私が大切にしているのは「自分の選択肢は自分が持つ」ということ。登場人物たちの選択の自由が、どのような課題や環境に影響されるのかを、作品を通じて描いてきました。初めは関心のないテーマでも、魅力的なキャラクターや物語との出会いを通して、関心を“0”から“1”にすることができる。これが、エンターテインメントの可能性だと感じます。
ジェンダー平等の鍵は、一人ひとりの意識改革。今までの“当たり前”を疑うことは、受け入れがたいことでもありますが、自分たちの手で変えられるのは、とても素敵で、かっこいいことだと私は思います。自分が生活をする中で出会った違和感と向き合い、対話を重ねることが、社会を少しずつ変えていくためには必要ですね。
●無意識の思い込みによる“生きづらさ”とは…?
“女性は料理が得意”“男性は強くあるべき”―こんな言葉を聞いたり、誰かに言ったことはありますか?
無意識による思い込みは知らず知らずのうちに誰かを傷つけたり、可能性を狭めてしまうことがあります。
▽性別による無意識の思い込みの例
・女の子はおしとやかに
・女性の方が気が利く
・男の子だから泣かないで
・男性だから力仕事をする
▽身近にある無意識の思い込み
昨年度の男女共同参画社会づくりに向けた県民意識調査の結果を見てみましょう。調査結果から無意識の思い込みが見えてきます。
・“男性だから”と、思い込みにより、こんな風に考えてしまうことはないでしょうか。
・管理職につく女性が少ない理由は男女によって回答に差があります。“女性だから”という思い込みによるものでしょうか。
性別にとらわれず、一人ひとりの個性や選択を互いに尊重すること。それが自由で生きやすい社会を作るための第一歩になります。
●一人ひとりが幸せ感じる滋賀の実現へ
▽「(仮称)パートナーしがプラン2030」を策定します
誰もが性別にかかわらず、個性や能力を発揮し活躍できる男女共同参画社会を実現するため、様々な人の意見を取り入れながら、令和8年度からの新たな計画を策定します。
▽ジェンダー平等のための「大人の学び、やりませんか?」
社会人を対象として、ジェンダー平等について学べるオンライン講座や若い世代との意見交換会を開催します。
※詳細は決まり次第県HPにてご案内します。
●吉田恵里香さん講演情報
脚本家 吉田恵里香さんの記念講演が県内で行われます!ぜひご参加ください!
▽2025年人権週間協賛 人権尊重と部落解放をめざす県民のつどい
開催日時:令和7年12月7日(日)10:00~(受付9:30~)
開催場所:滋賀県立文化産業交流会館(米原市下多良二丁目137)
申込:事前申込不要(託児は事前に連絡をお願いします)
参加費無料
お問合せ:(公財)滋賀県人権センター
【電話】077-522-8243
(詳細は後日HPでお知らせします)
「みんなで来てほしいのだ!」(ジンケンダー)
問合せ:女性活躍推進課
【電話】077-528-3771
【FAX】077-528-4807
【E-mail】[email protected]