文化 ふるさと再発見 Re:discovery Omihachiman 第81回

■文化財の保存修理(5)
埋蔵文化財の発掘調査 ~地下に眠る歴史を探る~

皆さんは「埋蔵文化財の発掘調査」という言葉をニュースなどで耳にされたことはありますか。今回は、普段私たちの目に触れることのない「地下の文化財」に光を当てる、発掘調査の取り組みをご紹介します。
埋蔵文化財とは、その名の通り地中に埋もれている文化財のことを指します。昔の人々の暮らしや建物の跡、使われていた道具などが土の中に長い年月を経て残されたものです。私たちが家を建てたり、土地を開発したりすると、これら貴重な文化財が傷ついたり失われたりする恐れがあります。そのため、あらかじめ地中に文化財があるかどうかを確認する調査(確認調査)を行い、必要に応じて本格的な発掘調査を実施します。
発掘調査では、重機を使って深さ2メートルほどの穴を掘り、地層の様子や出土する遺物を丁寧に観察します。もし過去の建物や暮らしの痕跡(遺構)が見つかれば、その周囲を手作業で慎重に掘り進め、図面や写真で記録をとります。時には、平安時代や室町時代の土器や瓦などが見つかることもあります。市内では、古代のムラやお寺、城跡などの遺跡が267か所も発見されています。遺跡の位置や概要は、本市のホームページで「埋蔵文化財」と検索していただければ、どなたでも閲覧できます。
これまでの調査では、貴重な発見がいくつもありました。たとえば、昭和60(1985)年の寺田遺跡(小田町)の調査では、小田神社拝殿の建て替えに伴い、平安時代の地層から「神殿」と書かれた土器が見つかりました。平成21年には、金剛寺城遺跡(金剛寺町)の調査で、室町時代の瓦や鬼瓦が出土しています。最近では、安土城下町遺跡の調査で、西の湖の近くに築かれたと考えられる石垣も発見され、話題となりました。これらの発見はすべて、発掘調査を通して初めて明らかになったものです。文化財の記録を残し、後世に伝えていくために、こうした調査は大変重要な役割を果たしています。
もしご興味があれば、ぜひ発掘現場の担当者にお声かけください。現地で直接、歴史の断片を感じていただける機会になるかもしれません。

文(文化振興課・森山)