文化 りっとう再発見215

■移築民家旧中島家住宅のかまど
平成2年(1990)に開館した栗東歴史民俗博物館は、本年で開館35周年を迎えました。
開館以来「栗東の歴史と民俗」をメインテーマとした地域博物館として、栗東の歴史や文化の魅力を発信し続けています。
敷地内に移築された旧中島家住宅(登録有形文化財)では、土日や祝休日にはかまどに火が入り、その温もりや煙の香りを感じながら、火吹き体験が楽しめます。
約150年前の明治時代初期、栗太郡霊仙寺に建てられたこの住宅は、当時の栗東地域の典型的な農家住宅でした。その後、大宝村や栗東町の時代を経る中で増改築が行われたものの、屋根は葦葺きのまま保存され、周辺の開発や都市化が進む中でもその独特な外観は、多くの人々の注目を集める存在だったといいます。
昭和60年(1985)、町はこの住宅の寄贈を受け、解体調査を実施して部材を保管しました。その後、栗東歴史民俗博物館の敷地内に移築・復元され、平成6年(1994)から一般公開が始まります。復元された土間にはかまども再現されており、博物館教室「昔のくらし」や講座「かまどめしを炊こう!」など、体験型・参加型のプログラムに活用されています。
移築・復元から約20年が経過した平成27年(2015)、市民有志が集まり、老朽化が進んでいたかまどを新たに作り直しました。その後、コロナ禍を経て、価値観やライフスタイルが大きく変化する中でも、旧中島家住宅のかまどは、かつての人々の暮らしを今に伝える貴重な資料として役割を果たし続けています。
さらに、本年5月には、本市・金勝生産森林組合・(株)しびりこの3者による旧中島家住宅のかまどで使用する薪の供給に関する連携協定を締結しました。協定により金勝地域の森林整備で発生する未利用間伐材をかまどの薪として活用することができ、環境学習への展開など、教育の充実にも寄与しています。

■収蔵品展「山と川と暮らし」
会期:11月30日(日)まで

■博物館講座「かまどめしを炊こう」
日時:10月18日(土)・11月15日(土)

※詳細はお知らせ版12ページに掲載
※要事前申込

問合せ:栗東歴史民俗博物館
【電話】554-2733【FAX】554-2755