くらし もっとゆたかに ~人権保障のとりくみ~

◆平和と人権
今年は戦後80年の節目を迎えます。この機会に、「平和と人権」について考えてみたいと思います。
「平和」の対義語と言えば「戦争」が思い浮かぶかもしれませんが、「暴力」こそがそれにふさわしいと言われます。それは、「戦争」に至らなくても、虐待や貧困、飢餓などが「平和」を脅かす「暴力」となるからです。さらには、差別や偏見、無関心なども「暴力」となって相手に苦痛を与え、「平和」を脅かしかねません。
一人ひとりに個性があり、価値観が違うため、考えの対立がしばしば起こることがあります。しかし、対立することが悪いのではなく、暴力を行使して問題を解決しようとする手法が間違いであることは、最近のウクライナやガザの例を見ても明らかでしょう。昨年のノーベル平和賞は、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)が受賞しました。授賞式の演説で、代表委員の田中熙巳さんは「核兵器をなくしていくためにどうしたらいいか、世界中のみなさんで共に話し合い、求めていただきたい」と訴えました。
また、今年4月に死去した第266代ローマ教皇フランシスは、2014年、ペレス・イスラエル大統領(当時)、アッバス・パレスチナ自治政府議長を招いた中東平和祈願の集いで、「平和の構築には戦争をするよりも勇気が要る。対話にイエスと言い、暴力にノーを言う勇気だ」という言葉を残しています。
考えに違いがあって当たり前、分かり合えない部分もあると受け止めることから問題の解決に向けた対話が始まります。あらゆる暴力を許さず、誰もが尊重される平和な社会をつくるためにも、まずはわたしたちの身近に平和をつくりあげるよう努めたいものです。

問合せ:人権推進課 人権教育室
【電話】69-2150【FAX】63-4554