くらし 【特集】未来へと続く森(1)

森の自然や森と共に生きた歴史を学ぶ。森と人とのつながりを取り戻し、持続可能な社会を目指した本市の取組を紹介します。

本市は市域の56パーセントを森林が占めています。中でも標高1000メートル級の山々が連なる鈴鹿山脈では、降り注ぐ雨が豊かな森によって時間をかけてかん養され、御池川、茶屋川、神崎川をはじめとした流れを生み出し、琵琶湖まで広がる広大な市域に潤いと恵みをもたらしてきました。
先人たちはこの豊かな環境をいかして、奥深い歴史文化や伝統を築いてきました。森は本市の生態系の源であるだけではなく、私たちの生活を支える基盤でもあります。

■鈴鹿の森の自然と人
鈴鹿の森は、動植物の分布上、東日本と西日本の境界部に位置し、日本海側気候・太平洋側気候の両方の影響を受けています。地質が多様なことや標高差がもたらす気象条件の変化により、多種多様な植生を有し、生物多様性に富む国内有数の地域です。
この自然を人間が適切に利用してきたことで、持続的な資源利用が可能となり、豊かで多様な自然が維持されてきました。

■鈴鹿の森の変化
▽社会の変化
戦後の拡大造林、高度経済成長、エネルギー革命などの社会変化によって、森林資源の利用が減り、森に対する人々の関心は薄れ、山間部では過疎化や少子高齢化が進み、今まで守り受け継がれてきた歴史や伝統文化も失われつつあります。

▽環境への影響
管理不足の森林の増加や気候変動などにより、表土の流出、河床の上昇などの環境の変化により生物多様性が低下し、その影響は下流にまで及んでいます。

▽鈴鹿の森と同様の問題が国土全体で起きている
こうした社会的問題は、鈴鹿の森に限らず国土全体で起きています。源流から河口までの森里川湖のつながりを一つの市域に含む本市だからこそ、その原点である森林に着目した取組が必要です。