- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府福知山市
- 広報紙名 : 広報ふくちやま 2025年6月号
■「枕」
所蔵:福知山市教育委員会
枕は、寝るときに頭を乗せる寝具であり、古くから様々な種類の枕が使われていました。例えば、スギ・クワ・キリなどを用いた木枕、トウや竹で籠状に編んだ藤枕や竹枕、布袋に小豆・そば殻・綿・藁蕊(しべ)・籾殻・茶殻・パンヤなどを詰めて両端を括(くく)った括枕(くくりまくら)、板を組んだ箱枕(はこまくら)などがあります。写真(1)(本紙参照)の枕は川合小学校から寄贈された括枕で、イグサで織った茣蓙(ござ)が使われています。
江戸時代には、髷(まげ)を結った人のために、箱の上に小さな括枕をつけて高くした箱枕が登場し、主流となりました。この枕は男女ともに使用していましたが、女性が結う髷は特に大きかったことから、女性用では寝返りを打ちやすくするため箱の底を船底のように湾曲させた船底枕が好んで使われました。女性が使う箱枕は嫁入り道具のひとつにもなり、鶴や末広(扇)などめでたい模様の蒔絵(まきえ)が施されたものもありました。写真(2)(本紙参照)の箱枕にも朱漆塗りに松や鶴の蒔絵が描かれています。明治以後、髷が断髪になると箱枕は次第に使われなくなり、高さの低い括枕が多用されました。この頃までは自分で枕を作って自分で使うことが一般的でした。
現代になると、枕は購入して使用する形に変化しています。素材は羽毛やポリエステルなど様々で、形や高さも日本人の体型や好みに合わせて作られるなど、多種多様な形が存在しており、枕の形や素材が時を経て変化してきたことがわかります。これは、時代の変化とともに起こった人々の生活様式や価値観の変化を反映していると考えられるとともに、枕の存在は、昔から人々が快適な睡眠を求めていたことを示しているのではないでしょうか。皆さんもこの機会にぜひ、ご自分に合う枕を見つけて快適な睡眠をめざしてみてください。
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