くらし 夏の京野菜万願寺甘とう大研究

舞鶴の夏を彩る京野菜「万願寺甘とう」を知って学んで大研究!生産者の思いから、おうちで作れるアレンジレシピまで紹介します。この夏、万願寺甘とうの魅力を味わい尽くしてみませんか。※関連24ページ

■とうがらしなのに「甘い」!?
万願寺甘とうってなあに?
スーパーや道の駅で見かける細長くてツヤツヤした緑の野菜「万願寺甘とう」。ピーマンよりも大きく、独特のくびれがあり肉厚でタネも少ないトウガラシです。そして、辛み成分であるカプサイシンがほとんど含まれていないため、ほんのり甘く、小さな子どもでも安心して食べられます。この辛みがないという特徴とおいしさ、食べやすさから、近年は全国のレストランでも人気の野菜です。

■万願寺甘とうのふるさとは舞鶴市!
大正時代に舞鶴市の万願寺地区で、新しい品種の栽培を目指し、農家の皆さんが試行錯誤を重ね、育て始めたトウガラシがルーツとなっています。やがて「万願寺とうがらし」と呼ばれるようになり「おいしい」と評判になりましたが、連作ができず、病気に弱いなど、育てにくい野菜でした。そこから、工夫を重ね、栽培方法を改良。また、おいしい株を選び、良い特徴を持った種を育てるなど産地を挙げての努力と熱意の結果、現在では夏の京野菜を代表する品種「万願寺甘とう」となりました。

■万願寺とうがらしの最高品種「万願寺甘とう」
「万願寺甘とう」は舞鶴市・綾部市・福知山市の一部の地域でのみ生産されています。辛いものが混じらないよう品種改良され、さらに、長さや形、色つやなど厳しい基準をクリアした高品質なものだけが「秀・優・良」に分けられ、出荷されます。
そのため「万願寺甘とう」と表示されているものは「えりすぐりの逸品」でもあります。

■知ってる?万願寺甘とうの袋のこのマーク!
◇世界へ羽ばたく!「GIマーク」
GIマークは、国が認めた「お墨付き」の証しです。GIとは「地理的表示」のことで、特定の地域で長年培われた生産方法や風土などにより、高い品質と評価を得た産品を国が知的財産として認定し、保護する制度です。万願寺甘とうは、日本を背負って世界に羽ばたいていきます。

◇伝統と信頼の証!「京マーク」
「京マーク(京のブランド産品)」は、京都府が推進する「京都のえりすぐりの逸品」の証し。認められるには厳しい基準をクリアしなければなりません。「京マーク」は生産者が自信を持って、つくり上げたとびきりの京都産品の証しです。

舞鶴の宝 万願寺甘とうを未来へつなぎたい
舞鶴万願寺甘とう部会 部会長
岡安 賢治さん
舞鶴市にUターンして新規就農し、10年目になります。地元で農業がしたいと考えた際、この地が発祥の地であることや農家同士のネットワークが心強かったことから、万願寺甘とうの栽培を決意しました。
万願寺甘とうは繊細な野菜で、温度に加えて、手入れの仕方や土の状態などさまざまなことが収穫量に大きく影響します。私も栽培を始めた最初の年に、全体の4割を枯らしてしまうなど、これまで多くの失敗を経験してきました。
大正時代に誕生してから、長年の間、固定種(※)にこだわり続けてきたことに特別な意味があると考え、センサーを活用して栽培環境の測定を行い、安定した生産を目指して努力を重ね、取り組んでいます。これからは見た目に加えて、味もさらに追求していきます。
現在、多くの生産者が市内の小・中学校で栽培に関する授業や体験指導を行い、万願寺甘とうの魅力を伝えています。子ども達には「自分のまちで生まれた野菜があるのはすばらしいこと。地域の宝だと思って大切に食べてほしい」と話しています。
さらに「舞鶴のお土産といえば万願寺甘とう」といわれることを目標にしています。万願寺甘とうのファンを増やしたいという願いから、昨年から観光分野にも参加し「海の京都舞鶴ごちそうサマーキャンペーン」など、さまざまな場所で工夫とチャレンジを始めています。
「最高においしい」を目指して、これからも頑張ります。
※地方野菜や伝統野菜など、その産地で味や形が固定された品種として独立している種

■万願寺甘とう、どこで買えるの?
JA京都にのくに直営の農産物直売所の「彩菜館」や万願寺甘とう公式オンラインショップ、市内のスーパーなどで取り扱われ、贈り物としても人気です。また、舞鶴市のふるさと納税の返礼品にもなっています。ぜひ、市外の家族や親戚、知り合いへも勧めてください。詳しくは、ホームページで確認を。右コードからアクセス可。
※二次元コードは本紙をご覧下さい。

万願寺甘とうは「煮て良し」「焼いて良し」「揚げて良し」と三拍子揃ったトウガラシ。そんな万願寺甘とうを使ったおうちで簡単に作れるレシピを紹介します。

■やっぱり農家さんのおすすめは素焼き!
あなたはしょうゆ派?それともポン酢派?

■万願寺甘とうのフライパンもちピザ
◇材料
切り餅…4個
万願寺甘とう…1本
タマネギ…1/2個
ソーセージ…3本
ミニトマト…4個
オリーブ油…大さじ1
とろけるチーズ…80グラム
ピザソースかケチャップ…大さじ4

◇作り方
(1) 切り餅を厚さ半分(8ミリ)に切る。ピザの具にする万願寺甘とう・ソーセージ・ミニトマトを同じ厚さ(5ミリ)に切る。タマネギは千切りにする。

(2) フライパンにオリーブ油を入れ、餅を隙間を空けて並べ、ふたをして中火で2~3分焼く。

(3) 餅が少しやわらかくなったらチーズ(材料の半分)を餅同士の隙間を埋めつなぐようにかけ、タマネギ、ピザソース、ソーセージ、トマト、万願寺甘とう、残りのチーズの順に乗せ、フタをして弱火で10分ほど焼く。切り分けて皿に盛る。

協力:谷口久美子(食生活指導士)

万願寺甘とうは、丸ごと食べられ、栄養素も豊富です。
ぜひご家庭でも、料理してみてください!

担当:農林課