- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府舞鶴市
- 広報紙名 : 広報まいづる 2025年10月号 Vol.1076
皆さんの家庭の食卓に並ぶカレーや肉じゃがのルーツが、舞鶴にあることをご存じですか?舞鶴といえば海の幸や万願寺甘とうなどがおなじみですが、海軍グルメのまちでもあるのです。今回は、舞鶴ならではの「海軍ゆかりの食文化」をその歴史とともに紹介します。

◇カレー
曜日の感覚を失わないための知恵
長い艦上生活では、曜日の感覚があいまいになりがちです。そこで、金曜日にはカレーを食べることで、曜日を認識できるようにしたといわれています。栄養バランスが良く、一度に大量に作ることができるカレーは、海軍の食事にぴったりでした。
◇肉じゃが
舞鶴発祥のおふくろの味
肉じゃが(甘煮)は、ビーフシチューを参考に作られたといわれています。当時はワインもバターも少なく、代わりにしょうゆと砂糖で作った結果、生まれたのが肉じゃが。舞鶴は「肉じゃが発祥の地」として、その味を守り続けています。
◇ホットウヰスキー
凍える体を温める!一杯の気付け薬
厳しい冬の寒さや冷たい海での見張りの任務は、隊員の体力を容赦なく奪います。そんな時、体の芯から温めてくれるホットウヰスキーは、何よりの気付け薬として、海軍に愛されていたそうです。
◇タピオカプリン
南国の恵みをデザートに!もちもち食感の先駆け
今ではすっかりおなじみのタピオカは、海軍では100年以上前からタピオカプリンなどとして食べられていました。牛乳・卵・砂糖で作った素朴なプリンは、甘いものが貴重だった当時、隊員たちにとって何よりのごちそうだったそうです。
■全ては隊員の健康管理から始まった
明治時代の海軍では、手足がむくんだり、しびれたりする「脚気(かっけ)」という病気が流行し、多くの隊員が脚気にかかり、時には命を落とすこともありました。海軍の軍医が食事に問題があることを発見し、白米が中心だった食事から、洋食などを取り入れたバランスの良い食事へと改善したところ、脚気にかかる隊員は劇的に減少しました。
この出来事をきっかけに、海軍では「隊員の健康にはバランスの取れた食事が必要」という考えが深く根付き、隊員の健康維持と士気を高めるため、食事に非常に力を入れるようになりました。
■一冊の教科書から生まれる艦ごとの味
隊員の食事を充実させるため、海軍では調理を担当する隊員の育成に注力したほか、海軍の料理教科書を編さんしました。この教科書には、200種類を超えるメニューが掲載されていますが、レシピは材料と簡単な手順が書かれているだけ。なぜなら、長い航海では、寄港地によって手に入る食材も、艦内の在庫状況も常に変わるからです。
「基本は教えるが、あとは現場の状況に合わせて最大限の工夫をしなさい」という、実践を重んじる海軍の理念により、同じメニューでも艦ごとに材料や味付けが異なり、それぞれ自慢の「わが艦の味」が生まれました。
市内の店舗で提供されている「まいづる海自カレー」の味が、護衛艦ごとに違うのは、この伝統を受け継いでいるからなのかもしれません。皆さんもぜひ、その違いをお楽しみください。
■海軍ゆかりのレシピを公開中
舞鶴市は、海軍が使用していた料理教科書に掲載されている、由緒あるレシピをご家庭でも作りやすいように紹介しています。
舞鶴ならではの食文化の歴史が詰まった、懐かしくて親しみのある「海軍グルメ」をぜひお楽しみください。詳しくは、市ホームページで確認を。下コードからアクセス可。
※二次元コードは本紙をご覧下さい。
この他、赤れんが3号棟などで教科書(復刻版)を販売しています。ぜひ手に取ってみてください。
■教科書を公開中
今年で開校50周年を迎える海上自衛隊第4術科学校では、海軍の料理教科書を一般公開しています。史料室には、教科書のほか、調理を担当していた隊員の業務に関する文献など、約250点の資料を展示しています。公開期間など、詳しくは、ホームページで確認を。右コードからアクセス可。
※二次元コードは本紙をご覧下さい。
担当:観光振興課
