- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大阪市港区
- 広報紙名 : 広報みなと 令和7年11月号
~これまでもこれからもこの地域(まち)と~
港区には、地域ごとに紡がれてきたまちの物語があります。区制100周年を機に、その過去と今を語り合い、これからの未来をともに思い描くインタビュー企画をお届けします。
■磯路地域
港区の中央部に位置する磯路地域。地域の中心には、人々の憩いの場になっている緑あふれる磯路中央公園があります。隣接する「三社神社」は、“三社さん”の愛称で親しまれ、夏祭りの時には毎年多くの人で賑わいます。今回はそんな磯路地域の子育てや見守り活動について、地域活動協議会の古島さん、武内さんにお話を伺いました。
◇義務ではなく、愛のある活動が大切
磯路地域のテーマは「愛があるまち」です。「この話になると、地域活動協議会の会長はすぐに『AIちゃいますよ、愛ですよ』と冗談を言うのですが、スタッフも義務感ではなく、真心を込めて活動することを大切にしています」と古島さんは笑顔で語ります。
その言葉どおり、まちの中心にある会館では子育てサロンやふれあい喫茶など、年齢や性別を問わず、誰でも参加できるイベントが開催されています。なかでも「いそじ~らんど」では、夏のスイカ割りや秋のハロウィンなど、季節を感じる創作活動やレクリエーションが毎月企画され、地域のこどもたちにとって大切な居場所となっています。「学校に通えていないお子さんや、見守りの対象となっているお子さんが参加してくださることも多く、本当に大切な場です」と武内さん。地域の飲食店や住民のシェフが得意料理をふるまう機会もあり、9月の「月餅づくり」も、そうした中から生まれたアイデアなのだとか。
「『簡単にできるメニューで、季節を楽しむ調理体験を』という話が出たとき、保護者の方が実はプロのシェフだと分かり、企画段階からスタッフに加わっていただきました」とのこと。小学校の先生が顔を出してくれることもあるそうで、地域の大切なつながりを育む場としても機能しています。
◇本当に必要な方へ支援を届けるために
磯路地域では、ひとり親家庭に対して食材を配布する事業も行っています。「最近は企業や団体が、それぞれの形で食材支援を行っています。『いそじ~らんど』の活動を通じて、食事の準備が難しいご家庭があることを感じていたので、地域としてお話をいただいた以上は、必要なご家庭にきちんと届ける仕組みにしたいと思いました」と古島さん。そこで、地域の全世帯に配布している「地域活動協議会通信」の紙面で「支援が必要なひとり親家庭の方はご連絡ください」と呼びかけたところ、25世帯・約70名から応募がありました。食材を渡す際には、困りごとや健康状態を丁寧に聞き取り、必要に応じて各種制度のご案内や、学校や社会福祉協議会、行政機関などとの連携も行っています。
「学校で会ったときに、味の感想を伝えてくれたり、『ありがとう!』と声をかけてくれるこどももいます」と武内さん。こどもたちの率直な言葉と顔の見える関係性は、安心して暮らせる地域の仕組みが根付いていることの証しです。
◇デジタル×アナログの二刀流
二次元コードを利用したオンライン申請や、Instagramによる情報発信など、先駆的な取り組みに力を入れている磯路地域。「きっかけはやはり、コロナの緊急事態宣言でした。集まることができない状況が続くなか、これまで地域活動を支えてくださっていた世代の方が次々と引退を表明されて……、それでも何かしたいと思い、会長にオンライン会議の提案をしました」と古島さん。「新しい生活様式」に合わせた活動を模索してきた数年間で、担い手の世代交代が進んだこともデジタル化への追い風となりました、と当時を振り返ります。
一方、地域活動協議会を設立した2013年から月1回の発行ペースを守り続けている「地域活動協議会通信」も、大切な発信ツールです。2025年11月で153号を数えるこの紙面では、前月の報告から今後の予定まで、地域の主な行事がひと目で分かり、多くの住民の方々が楽しみにされています。制作を担当している広報スタッフは「毎月本当に大変なんですよ」と言いながらも、魅力的な紙面を作り続けています。
最後に、磯路地域の未来についてお聞きすると、「誰もが住んでいて良かった、住み続けたいと思えるようなまちにしたい」「一人ひとりが自分の住むまちを愛し、大切にし続けることが未来につながると思っています」と、声を合わせて熱い思いを語ってくれました。
