- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大阪市住吉区
- 広報紙名 : 広報すみよし 令和7年10月号
■住吉の笑芸人 第1回
住吉大社の前で客を呼び込む駕籠屋(かごや)を題材にした「住吉駕籠(すみよしかご)」や「卯の日詣り(うのひまいり)」など、住吉界隈は数々の上方(かみがた)落語の舞台になりました。そんな住吉に上方(かみがた)落語四天王と呼ばれた二人の落語家が住んでいたのをご存じでしたか?
一人目は、三代目桂春団治(かつら はるだんじ)です。羽織(はおり)を真後ろに一瞬で落とす流麗な所作や絶妙の間など、華やかで洗練された芸風で、得意ネタは「野崎詣り(のざきまいり)」。二人目は、六代目笑福亭松鶴(しょうふくてい しょかく)です。春団治とは対照的に、ダミ声・豪快・力強さの中に繊細さを持ち合わせた芸風で、酔態と子どもの描写は他の追随を許しませんでした。得意ネタの「らくだ」を聞いた古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)・立川談志(たてかわ だんし)はその完成度の高さに口がきけなかったといいます。今年1月、住吉大社境内に顕彰記念碑(けんしょうきねんひ)が建てられた桂米朝(かつら べいちょう)(落語四天王の一人、人間国宝)も松鶴(しょかく)の存命中は敢えて「らくだ」を演じなかった程です。現在、松鶴(しょかく)の旧居を改築した寄席小屋「帝塚山 無学」では、弟子の笑福亭鶴瓶(しょうふくてい つるべ)のトークショーが年に数回開催されています。
住吉区では、今も各所で落語会が開かれており、皆さまも一度足を運ばれてはいかがでしょうか。
[執筆]NPO法人すみよし歴史案内人の会 實宗 康浩(さむね やすひろ)
