くらし 【クローズアップ2】有害鳥獣から野菜を守ろう(1)

被害拡大中
人や農作物に被害を与える野生動物、いわゆる「有害鳥獣」による農作物被害が市内で深刻化しています。
今号では、農作物被害の現状と有害鳥獣対策についてお伝えします。
ID:152174

■今、高槻産野菜が大ピンチ
近年、有害鳥獣による農業被害が深刻で、市内で生産された米・野菜が動物に食い荒らされ、農家が被害を受けています。
被害増加の要因は、全国的にシカ、イノシシ、アライグマなどの有害鳥獣の頭数が増加していること。餌を求めて、動物の行動範囲が人里まで徐々に広がってきています。
市北部のシカによる被害は甚大で、地産地消の野菜づくりが危機的な状況。令和6年度のシカとアライグマの捕獲頭数は、過去最高を記録していますが、繁殖力が高いので、より一層、捕獲と対策に取り組む必要があります。

シカの捕獲頭数

令和3年度 68頭

令和6年度 146頭
過去最高を記録

◇有害鳥獣の一例
特に対策が必要な有害鳥獣として、シカ、イノシシ、アライグマなどを指定しています。
・日本固有種…適切な頭数に管理。その他サルも対象
・特定外来生物…日本の生態系を保護するために駆除

【被害を知る】
有害鳥獣による被害とはどのようなものなのか、市内の農家さんやJAたかつきに話を聞きました

◆農家さんに聞きました
▽石田和義さん(原)
被害に遭っている動物:シカ、イノシシ、サル、アライグマなど
特に被害が大きい作物:
・シカ…苗、コメ、豆類、葉物野菜
・イノシシ…コメ、イモ類

原では、この数年で有害鳥獣の被害が急激に増えました。特にシカの被害はひどく、うちでは、昨年イチゴの苗は1晩で全滅。収穫直前だった黒枝豆800株も2晩で全てやられて、毎年恒例の黒枝豆販売会の出荷にも影響が出ました。
シカはほぼ毎日10~20頭ほどの群れで現れます。道路には無数の足跡がついています。府道では、シカと車やトラックとの衝突事故も起きているので、日没後や明け方は、一般の人にも注意してもらいたいです。

●今後も被害が増える不安 農業を続けられなくなるのでは
これ以上被害が増えると、農業を続けられなくなり、地産地消の取り組みが成立しなくなるかもしれません。地域でもできる限りの対策を行っていますが、動物は繁殖力が高いので、やはり数自体を減らす取り組みが重要だと思っています。

▽戸田清治さん・智子さん(塚脇)
被害に遭っている動物:アライグマなど
特に被害が大きい作物:トウモロコシ、落花生

塚脇で農園を始めて約1年。野菜の被害について近所の農家さんに相談したところ、アライグマだよと教えてもらい、知りました。おいしい時期を良く知っていて、出荷直前の熟したものから食べられるので、困っています。

●被害にあった野菜はその周辺も 出荷を断念することも
落花生には不織布をかけるなどの対策をしていますが、手間も時間もかかります。被害に遭った野菜は、アライグマが持つ病原体などが心配なので、その周辺も出荷していません。トウモロコシなど単価が高い野菜が被害に遭うと、当然収入減にもつながりますし、さらに動物の数が増えて、被害が増えたらと心配です。

◆JAたかつきに聞きました
JAたかつき営農指導課(総合営農センター)
課長 甲田真一さん
○地産地消を支える地元農家を応援しよう
JAたかつき総合営農センターでは、農家さん(組合員)への営農指導と支援を一元的に行っています。この1~2年で、有害鳥獣の被害の声が急激に増え、シカやイノシシによる被害は、原と樫田のほかにも、梶原、奈佐原、磐手、萩谷などでも出ています。さらにアライグマは、市内全域で確認されています。
地産地消を支える農家さんが農業を続けていける環境を守っていくためにも、有害鳥獣被害に関心を寄せていただき、一人一人ができることに取り組むことで地元農家を応援していただきたいです。