その他 監督・主演、わたし。 ひがし沙優さんスペシャルインタビュー

守口市内在住のひがし沙優さんは、小学3年生から女優活動を始め、並行して中学1年生から映画制作をスタート。家族3人で作り上げた作品「正しい家族の付き合い方」が、自主制作映画の全国的なコンクール「ぴあフィルムフェスティバル2024」で史上最年少入選を果たしました。
現在高校1年生ながら、女優と映画監督の“二刀流”をこなす彼女に話を伺いました。

ひがし沙優 Higashi Sayu
2009年守口市生まれ。高校1年生(取材時中学3年生)。
女優活動と並行し、2022年から映画制作を始め、これまでに10作品を制作。スタッフ・キャストは家族中心で、撮影・編集はスマートフォンで行う。YouTube(ユーチューブ)やゲームも大好きなインドア派。

◆なんとなくで始めた監督業
もともと、女優を小学3年生から始めたのですが、中学生になったころから出る場所がなくなってきて、オーディションに受かりにくくなってきました。そこで、私自身がYouTube(ユーチューブ)やTiktok(ティックトック)を見て育ってきたのもあり、自分でスマホを使って撮ってみようとなんとなく始めました。
監督という立場になると、また違った発見がありました。女優をしていることもあり、最初はやはり演技力が大切なのかなって思っていたんです。でもいざ監督をやってみると、家族以外の人に出演してもらう場合は自分で依頼するので、ダメなら次の人に当たるために、とにかく連絡が早い人がありがたいなと感じました。
「つんく♂中2映画プロジェクト」に2年ほど参加していたことがあり、同年代の演者の方と接する機会が増えました。そこで出会った人たちは、演技力の面でももちろん信頼していますし、連絡もスムーズにできる方が多いので、何度も映画に出演してもらっています。

◆家族三人で映画制作
基本的には父が脚本を書いてくれて、私は編集と監督がメインです。
「正しい家族の付き合い方」の場合は、スマホで撮影するので、外で撮影すると環境音が入ってしまうため、とにかく家の中で何か作れるものはあるかな?という話から、父がストーリーの土台を作ってくれました。
また、父と私が出演しているシーンでは、撮影を母が担当してくれているところもあります。そのときどきでいろんな役割をこなしながら、なんとか家族で分担して作っています。
脚本は、最初に作る段階では特に意見はしないのですが、話の流れを見て「こういうところはカット割をちょっと違う感じにした方がいいんじゃないかな?」など相談し合いながら決めていっています。
撮影のほうは、割と勢いで撮り進めていくことが多くて、平日も学校が終わってからすぐ着替えて撮ったりしているんですが、編集作業が結構ボリュームがありますね。1日がっつり編集しているというよりは、1日2時間ずつくらいのペースで少しずつ進めているので、例えば新作の「わたし、映画つくるんだ!」は35分の映画なのですが、完成まで1年くらいかかりました。また、編集している途中で「なんかおかしいな」と思ったり、ストーリーの進み方や終わり方などをもっと工夫できるんじゃないかと思ったりすると、そこからまた別の人に出演依頼したり、結果的にシーンが増えたりすることもしょっちゅうあります。

◆撮影素材はLINE(ライン)でやり取り
家族以外の人に出演してもらうときは、演じてほしい内容を伝えて、各自で撮影してLINEで送ってもらっています。映画祭などで知り合いの役者さんと会う機会があったら、事前にセリフだけ用意して、その場にいたら声をかけて撮らせてもらうというような、運頼りな部分もあります。
ちなみに、撮影に使用する小物は大体100円ショップで揃えています。「正しい家族の付き合い方」では、部屋の装飾に小さなLEDのライトを使用したのですが、これも100円ショップで調達しました。
ただ、脚本や撮影以外の、例えば映画のロゴや絵などの専門的な部分はできることが少ないので、うまくやれる方法を考えるのは結構大変ですね。そういう部分は別の方に依頼することもあります。

◆女優を続けながら、監督も
今後も女優を続けていきたいというのは一番ですが、機材や編集の知識をレベルアップしながら映画も撮っていきたいです。今はスマホだけで撮影も編集もやっていますが、データ容量の関係上スマホでは作業しづらい部分もあるので、パソコンでの動画編集には早めにチャレンジしていきたいと思っています。
映画を撮るのは、やっぱり自分一人で全てできるわけではなくて。家族はもちろん、私が女優として出演させてもらっている作品の監督も、何かあれば機材とか全部用意するから!と言ってくださったり、出演依頼する方もいつも無償で出てくださったり、本当にいろんな人に助けてもらってるなと感じています。これからも周りの人に支えてもらいながら、家族三人で映画制作を頑張っていきたいなと思っています。
その先の進路については、今はまだ全然考えていないのですが、女優と監督を両立しながら、本当に自分がやりたいことを探していきたいです。

Q.新作はどんな映画?
「わたし、映画つくるんだ!」です。主人公の女の子が、YouTubeの講座を見て真似して映画を作っていくのですが、説明がちょっと変で、それを見た女の子もちょっと変な感じの映画を作っていく…というコメディーチックな内容です。
今回は30分くらいの作品ですが、編集も終わって完成しました!これからいろんな映画祭に応募して、皆さんに見ていただけるように頑張ろうと思ってます。

◇代表作
「学校おいでよ!」(2023)
中学2年生の少女は転校したが、学校に行けないでいた。そんなとき「クラスのみんなからのメッセージ」をまとめたDVDが送られてきて…
受賞歴:
・鶴川ショートムービーコンテスト2023入選
・大牟田映画祭2023ノミネート
・SAITAMAなんとか映画祭2024ノミネート(俳優賞受賞)
・立川名画座通り映画祭2024ノミネート(スマホ部門賞、立川市長賞)
・TBS DigiCon6(2024)Youthアワード賞
・ラピス・スマイル映画祭2024ノミネート(ルックアップ賞)

「正しい家族の付き合い方」(2024)
酒浸りの父親と暮らす夢見る少女。父親が何の仕事をしているのか、なぜ酒を飲むのか、少女は何も知らない。彼女の思い描いている理想の親子像はどこかいびつ。目の前の現実に、なす術も力もない少女は、それでも上を向く、そして外を向く…。
受賞歴:
・福岡インディペンデント映画祭2024ノミネート
・PFFアワード2024(ぴあフィルムフェスティバル)ノミネート
・神戸インディペンデント映画祭2024 ヤング部門ノミネート
・西湘映画祭2025ノミネート
・第23回中之島映画祭入選

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