- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府寝屋川市
- 広報紙名 : 広報ねやがわ 令和7年3月号
■「田舎で農家になりたい」
夢かなえて農園経営
有機栽培農家
岡田 耕治(おかだ こうじ)さん(49歳)
東京都心から車で約1時間。広さ約3.5ヘクタールの農園は千葉県成田市にあります。「農家になりたい」という子どもの頃からの夢をかなえて24年。わずか14万円を元手に独立し、おいしくて栄養価の高い野菜の有機栽培に取り組んでいます。
◇小学生で育てたトマト評判に 農家目指して農業大学へ
自宅に小さな菜園があるサラリーマン家庭に育ちました。小学校3年生のときに買ってもらったミニトマトの苗が大きく成長。近所に配ると「おいしい」と喜んでくれ、田舎で農家になることが夢になりました。
府立南寝屋川高校(現・府立緑風冠高校)から東京農業大学に進学。ところが講義の内容は農家を目指す勉強とは程遠く、農業関係の求人もゼロ。「一番近そう」と入った園芸会社も3か月で辞めました。
◇26歳で独立 生産者仲間が力に
転機は約1年後に訪れました。地下鉄の車内で就農セミナーの広告を見つけ、千葉の農家で1年間研修。26歳のときに20アールの農地を確保し、化学肥料に頼らない有機栽培農家として独立しました。
小松菜と落花生を作った1年目は「たった36万円の売り上げでしたが、農家になれたことがうれしかった」と振り返ります。「よく目をかけてくれた」という生産者仲間との出会いも力になり、耕運機で耕す姿に見かねた友人が中古のトラクターを紹介してくれました。売り先がなくてサラダ菜を廃棄したこともありましたが、販路の面倒もみてくれ、5年目から軌道に乗りました。
◇野菜が育つ土作りに力注ぐ 千葉の先進農家に
農園はジャガオカファームという名前ですが、「ジャガイモは作っていません」と笑います。現在は約12品目を生産していますが、当初から力を入れてきたのは土作りです。堆肥(たいひ)や米ぬかなどで作る有機肥料はすべて自家製。「手間はかかりますが、病気になりにくく、おいしい野菜が育ちます」。
10棟のハウスを建てた6年前から従業員を雇い、昨年3月には就農希望者が農園で確かな栽培技術などを学べる、先進農家として千葉県の認定も受けました。
朝が早い農園の一日は長く、週末は大学時代に出会ったスポーツのラクロスでリフレッシュ。独立を目指す人たちには「農業は苦労も多いが、楽しくてすばらしい仕事。先輩たちに助けられながら培ってきたノウハウや経験を伝えられたらうれしい」と話します。
◆私とふるさと
河北中町の自宅から田んぼのあぜ道を歩いて市立堀溝小学校に通っていました。市立第七中学校の頃には農業大学に行くと決めていたので学習塾へ。すごく厳しい塾だったという記憶しかありません。
一番の思い出は府立南寝屋川高校時代です。同級生との人間関係も充実していて、よく遊んでいました。今、寝屋川市に実家はありませんが、自分が育った所を子どもたちに見せようと3年ほど前に訪れました。