- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府摂津市
- 広報紙名 : 広報せっつ 令和7年9月1日号
摂津市では、小中学生が自らの未来を描き、豊かな人生を歩むためのキャリア教育を推進しています。また、地域と連携し、誰もが通いたくなる魅力ある学校づくりをめざし、さまざまな取り組みを進めています。この特集では、教育長へのインタビューを交えながら、それぞれの実践例を紹介します。摂津市の教育が拓く新たな未来にぜひご注目ください。
摂津市の教育のめざす方向性について、今回は教育長に直接お話を聞きました。
◆教育の中で大切にしたいことは?
子どもたちが15歳になるまでに、「言語能力」と「好奇心」を伸ばしていきたいですね。言語能力というのは言葉の力です。子どもたちが言葉に触れる機会や言葉で表現する機会を増やし、しっかりと語彙を増やしていかなければなりません。これは授業だけでなく、読書習慣や新聞を読むこと、大人との会話が影響します。SNSやおしゃべりだけでは語彙は増えないんですよ。言葉を大切にし、言葉を増やし、言葉を育てる15年間にしたいです。
◆「好奇心」を通じて広がる未来への可能性とは?
「好奇心」というのは、ものごとへの興味・関心を広げるものですし、子どもたちの学ぶ意欲の向上や主体的な行動力にもつながるものです。就学前・小中学校での遊びや学びを通して育みたいですね。その中で、子どもたちが「人」に関心を持ち、「仕事」や「社会」に関心をもつことが重要だと考えています。これはキャリア教育とも言えます。
◆子どもの可能性を広げるキャリア教育とは?
キャリア教育は、どんな仕事に就くかだけでなく、どう生きていくか、どのように社会と関わっていくかを考える力を育てます。子どもたちが「自分の将来」について考えながら、自分のために、誰かや何かのために、「やりたいこと」や「できること」、そして「やるべきこと」を認識していくことが目標です。人や社会との関わりに対して責任を自覚することで、「子ども」は「大人」になるのではないでしょうか。
◆最後に「言葉が持つ力」について
ブリキのおもちゃ博物館館長として知られる北原照久さんが、雑誌対談の中で、「体は食べたものでつくられる。心は聞いた言葉でつくられる。未来は話した言葉でつくられる」とおっしゃっていました。私は、子どもたちに関わる大人の「光る言葉」や「力のある言葉」が子どもたちの心を耕すんだと思っています。そして、子どもたちは獲得してきた言語能力と好奇心を基盤に自らの夢や志を語ることで、しっかりと未来を切り拓いていくのだと思うのです。(=立志教育)
◆キャリア教育が子どもたちにもたらす成長
キャリア教育は、社会の一員として自分らしく生きる力を育む学びです。日々の授業に加えて探究活動で問題解決力や創造性を養います。職場体験や社会人トークなどでは、教員や親以外の大人と関わる中で責任や努力の重要性を学びます。多様な価値観に触れながら、自らの進路を考え、未来に希望を描く大切な機会となります。
◇1980年代
·昔のキャリア教育は、就職や進学というゴールに向かわせることが中心だった。
・職業や進学先について教えることが主であった。
・正解を教えられる学びであった。
↓
◇現在
・変化する社会の中で自ら道を切り拓き、幸せに生きていくための学びが行われている。
・職場体験などの実践的な活動を通じて、社会や働く人々と直接関わる体験を重視している。
・自分なりの答えを見つける学びである。
◆魅力ある学校づくりがめざす安心の教育環境
魅力ある学校づくりとは、すべての子どもたちが楽しく安心して学校生活を送り、「明日も行きたい」と思える学校をつくることです。その中で、自分の良さを実感し、自分が役立っていると思える気持ちが育つことをめざしています。「子どもたちが自治する学級・学校」を柱に、行事や活動を主体的に話し合い実行する中で、責任感や社会性が自然と育まれます。この取り組みは、尊重し支え合える環境を広げ、将来の社会を担う人材育成の土台となります。
◇1980年代
・教員に言われた通り、正確にできることを重視する価値観であった。
・黒板を使い知識を伝える講義型が主流で子どもたちは説明を聞きノートを取る学びが中心だった。
↓
◇現在
・教員は子どもに寄り添い、支える伴走者となる。
・子どもたちが自分で考えたことを形にする力を育てる。
・教員の一方的な講義だけではなく、友達やクラスメイトなどと話し合いながら課題を解決し、発表する場面が多く取り入れられている。
問い合わせ:学校教育課へ