健康 【特集】市立病院の乳がん治療(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県宝塚市
- 広報紙名 : 広報たからづか 2025年3月号No.1333
■専門チームで患者さんを支えます
乳がんは、日本人女性が最もかかりやすいがんで、約9人に1人が乳がんと診断され、全国で年間約15,800人(※)が亡くなっています。また、乳がんは女性の病気と思われがちですが、男性にも発生することがあり、乳がん全体の約1%を占めるといわれています。
もし、乳がんになったら…。そんな不安や治療を宝塚市立病院はチームでサポートします。
(※)国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)より2023年の数値
◇ブレストケアチーム
ブレストケアチームは、平成24(2012)年に結成された乳がん診療の専門チームです。乳がん専門の乳腺外科医だけではなく、幅広い分野の専門スタッフが治療をバックアップします。チームは週に一度ミーティングを行い、患者さん一人一人の治療方針の決定や、サポート内容の情報共有を行っています。
◇チーム医療の強み
従来は、乳腺外科医が診療業務以外のことも行ってきました。チームができてからは、看護師が患者さんに丁寧な説明をしたり、相談に応じたりして可能な限り不安な気持ちを取り除くなど、役割分担を行っています。各スタッフが専門的な知識や技術を生かすことで、患者さんに寄り添ったより質の高い医療を提供できるようになりました。
◇幅広い分野のスタッフが協力しています
[ブレストケアチーム]
・乳腺外科医…がんの切除手術・薬物治療を実施
・皮膚科医…皮膚にまで及んだ乳がんを治療
・病理診断科医…針生検や手術で採取した病変を顕微鏡で観察し、病気を診断
・薬剤師…患者さんに薬の説明をする。また副作用の早期発見に努める
・臨床検査技師…病理標本作製、細胞診検査での判定および超音波検査を実施
・放射線治療科医…放射線治療方針を決定
・形成外科医…乳房再建手術を実施
・看護師…患者さんを心身ともに支える。手術で使う器材を調整する
・診療放射線技師…放射線治療計画の立案、照射、マンモグラフィ検査などを行う
・作業療法士…患者さんが日常生活を送れるよう、リハビリを実施
※必要に応じて相談・協力しながら診療
◇患者さんのお声
大勢のスタッフの方々に大変お世話になりました。「どこか痛いところはありませんか?」という優しい言葉が耳に残っています。
車いすやベッドでのお風呂のサポート、大変うれしかったです。皆さま本当にありがとうございました。
■市立病院での乳がん診断・治療の流れ
◇異常を感じる
・検診
・セルフチェック(詳細は本紙4面へ)
↓
◇かかりつけ医を受診し紹介状を発行してもらう
↓
◇市立病院を受診
・問診
・診察
↓
◇画像検査
・マンモグラフィ
・超音波(エコー)
↓
◇生検・確定診断
・しこりの一部を針で採取
・顕微鏡で観察
乳がんではない場合…定期的な検診で経過観察
↓
◇治療方針を決定
CT・MRIで乳がんのタイプや転移の有無を確認
↓
◇手術
・部分切除術
・全切除術
◇薬物療法
・抗がん剤など
◇放射線治療
◇その他のケア
・リハビリ
・心身のサポート など
■教えて!乳がんのこと
Q.まずはどこに行けばいいの?
A.異変を感じたら、乳腺外科(ブレスト)クリニックなど乳腺疾患の診療を行う医療機関、または普段から健康相談をしている医療機関を受診してください。
Q.マンモグラフィ検査はどんなもの?
A.乳房専用のX線撮影装置で、乳房を上下左右から圧迫し、薄く伸ばした状態で乳房全体を撮影する検査です。
市立病院では、昨年3月に新型装置を導入。角度を変えながら細かく撮影して乳房の断面画像を作ることで、より詳細で精度の高い情報を得ることができます。そのため、乳腺に隠れた乳がんや石灰化などを見つけやすくなりました。さらに、少しでも検査の痛みを和らげられるよう工夫された素材や形状になっています。
また、市立病院では精神的な負担軽減のため、マンモグラフィや超音波検査をすべて女性技師が担当しています。
Q.生検って何?
A.乳房に針を刺し、しこりの一部を採取して、顕微鏡でがん細胞があるかを確かめるものです。これは、マンモグラフィや超音波などの画像診断で良性か悪性かはっきりしない場合などに行います。
Q.治療はどんな方法があるの?
A.乳がんのタイプや進行度にもよりますが、大きく分けて手術、薬物療法、放射線治療の3つがあり、どの順序で治療を行うかは患者さんと相談しながら決定します。
手術には、がんを含む乳房の一部を切除する乳房部分切除術と、乳房をすべて切除する乳房全切除術の2パターンがあり、乳房切除によって失われた乳房をできる限り作り直したい場合は、乳房再建手術を行います。
薬物療法は、手術前にがんを小さくしたり、再発を抑えたり、延命や症状の緩和のために行います。
また、放射線治療は、乳房部分切除術の後に再発を抑えるために原則として行います。
Q.病院ごとに治療法は違うの?
A.市立病院を含め、乳がん治療を行う多くの医療機関では「標準治療」を採用しており、治療法は基本的にどこも同じです。「標準治療」とは、科学的根拠に基づき確立されている、現在利用できる最良の治療法のことを言います。
Q.入院期間はどのくらい?
A.乳房部分切除術を行う場合は約5日間、乳房全切除術では約9日間、切除と同時に乳房再建まで行う場合は約15日間です。
Q.リハビリはなぜ必要なの?
A.手術後は、肩の関節が動かしにくくなり、腕を上げることが難しくなります。また、手術で脇の下にあるリンパ節を切除した場合は、リンパ液が脇にたまり、腕が重く感じることがあります。じっとしていると症状が悪化するため、リハビリによって症状の改善を図ります。
◇乳腺外科 西野 雅行 部長
ブレストケアチームの使命は、患者さんにとって最良の医療を提供することだと考えています。今後はもう少し気軽に患者さんからの相談をお受けできる体制を整えていきたいです。また、将来的には乳房を切らない治療法も取り入れて、患者さんの負担を少しでも軽減することが目標です。