くらし 〔Column〕生きる

■障がいの「見える化」を巡って Vol.2
◇「ヘルプマーク」に託すもの
私は自分がヘルプマークを付けることに長いこと迷っていました。理由のひとつは「今まで地道に育てられてきたマークたちはどうなるのだろう」という心配でした。
実はヘルプマークができるずいぶん前からさまざまなデザインのマークがすでにあり、それぞれに固有の意味がありました。例えば「心臓などの臓器に障がいがあります」「聴覚過敏があります」など。それらは市民団体などが地道な努力を続けて広めてきたものです。当事者がどんな理由でマークをデザインし、どんな支援を求めているのか、その意味を知ってもらう事を含めての「○○マーク」活動だったのです。しかし、それが全てヘルプマークにまとめられると、単に「理由はともあれ助けてください」ということになり、その人が周りの人に、社会に伝えたいこと…見た目では分からない困難を抱えている「私」がこの社会に暮らしていますという発信が見えなくなってしまうのではないかと思ったのです。
同じように考えていた人は多かったようで、いろいろな工夫が同時に広まったのです。例えばタグ型の「ヘルプマーク」と、詳しく自分の情報を書きこめる「ヘルプカード」を同時に配布している自治体が増えており、川西市でも両方を配布しているそうです。以前からある自分の障がいを表現するマークと、ヘルプマークを一緒に付けている人もよく見かけます。見た目で分かりにくい困難を自分から発信できるきっかけをヘルプマークが与えてくれているのだと思います。
NPO法人大阪難病連事務局長 尾下葉子

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