くらし 人権一口メモ No.278

■それぞれの自己実現の達成へ
本年度の住民学習会で活用していただく人権啓発映画「みんな笑顔になる日まで」を紹介します。
皆さんは、自分の身近にいる人が何らかの困難を抱えていると気付いても、どのように手助けをすればよいか分からないことはありませんか。この映画は、「支援を必要としている人々への正しい理解と関わり方」がテーマとなっています。
この映画の主人公の葵は、若年性認知症の父親をもつ中学生です。仕事に追われる母親の代わりに家事や妹の世話を担っています。家で勉強する時間をとることさえままならず、学校でも人目を避けてうたた寝をするほど負担を強いられています。また、父親はそのような娘の姿を見ていたたまれなくなり、自分の不甲斐なさを嘆き苦しみます。一方、地域住民の美咲は、よく見かける葵が何らかの困難を抱えていることに気付き、民生委員の山園や夫に相談します。適切な支援を行うことで、葵も父親も支援者もみんなが笑顔になっていく姿が描かれています。
ヤングケアラーとは、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子ども」と定義付けられています。このように聞くと、「昔からみんなやっていた」と感じられるかもしれません。では、なぜ、今このことが取り沙汰されるのでしょう。それは、調査の結果、健康状態や学生生活に支障をきたしていることがわかってきたからです。また、友人との交流や部活動にも制限が出るため人間関係が希薄になり、社会的に孤立してしまう恐れもあります。文部科学省と厚生労働省が令和3年に公表した調査結果によれば、中学2年生の17人に1人がヤングケアラーであることがわかりました。
この作品をご覧いただくことで、ヤングケアラーや若年性認知症への正しい理解を得ることができます。そして、美咲の行動からは、周囲の関わり方のヒントが得られます。「それぞれの自己実現の達成へ向け歩んでいける社会」について考える機会としていただけたらと思います。

問合せ:社会教育課