くらし 人権一口メモNo.281

■ゲノム医療の進歩と差別
法務省が定める「人権啓発活動強調事項」に、今年度新たに「ゲノム情報(遺伝情報)に関する偏見や差別をなくそう」が、18番目のテーマとして追加されました。あまり聞き慣れない言葉ですが、私たち一人一人に関わるとても大切な事項となっています。
現在、ゲノム医療は目覚ましい進歩を遂げています。患者一人一人に合った効果的な治療法を見つけられる可能性があり、画期的な医療として期待されています。その一方で、「究極のプライバシー」といわれる遺伝情報に基づく不当な差別やプライバシーの侵害が懸念されています。例えば、過去には、保険会社が遺伝子検査の結果によって保険の加入を拒否したケースや、就職の際、遺伝子診断の結果を受けて入社を断られるといったケース、婚姻に関して、遺伝的リスクを理由として関係に亀裂が生じたケースなどが報告されています。
2023年、国は、この画期的な医療を適切・公平公正に推進するため、「ゲノム医療推進法」を施行しました。基本理念として、(1)ゲノム医療の恩恵を広く国民が享受する(2)生命倫理への配慮(3)情報保護と差別防止の3つが掲げられています。これにより、ゲノム医療の普及とゲノム情報の活用が進むことが予想されますが、前述のような懸念事案が起こらぬよう、国民がゲノム医療に関する正しい知識をもち、偏見や不当な扱いに対して冷静に判断できる社会環境を整えることが求められています。
また、属性によって偏った見方をしないことも大切です。子ども、高齢者、性別、国籍、障がいの有無、ゲノム。このような属性で人を判断したりせず、その人自身、ありのままの姿(多様性)を受け入れて接していきたいものです。

◆「人権文化をすすめる町民運動」記念講演会(8月3日(日)開催)
菅野ミキさん(&MIKI代表・義肢装具士)にご講演いただきました。
お客様の生きる喜びと人権を守るため、一人一人の想いに寄り添って仕事に向き合っておられる姿から、多くの学びを得ることができました。

問合せ:社会教育課