- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県佐用町
- 広報紙名 : 広報さよう 令和7年2月号
◆第45回 明け方の「もちくいぼし」
お正月におもちを食べましたか?冬の夜空に見えるふたご座の1等星「ポルックス」と2等星「カストル」の2つの星は、播磨地方では「もちくいぼし」と呼ばれていました。
その昔、お正月に夜明け前までおもちをついていると、この2つの星が西の夜空に現れ、まるでおもちを食べたそうに輝いて見えたことが、「もちくいぼし」の由来だと伝えられています。
また、この2つの星は目のように見えることから、「がにのめ(カニの目)」と呼ばれることもあります。昔の播磨の人々が、闇夜のカニの目を巧みに想像したのかもしれませんね。
現在の星座は、ギリシャやヨーロッパに伝わる神話をもとに作られた88があります。それとは別に、世界各地には昔ながらの星の名前が伝えられており、日本にもさまざまな呼び名が残されています。
旧暦のお正月は、今の暦の2月初旬ごろにあたります。今年はオレンジ色の火星が、もちくいぼしの上に輝いています。
がにのめに見えるか、おもちを食べたくなるか。夜明け前の西の空で、火星を目印に2つの星を探してみてください。
兵庫県立大学 西はりま天文台
准教授 石田俊人