健康 医学メモ

◆手根管症候群ってなに?
手根管(しゅこんかん)症候群とは、神経が手首で圧迫され指がしびれる状態です。
はじめは人差し指、中指にしびれ、痛みが出ますが、時間が経つと親指から薬指もしびれます。時間が経つと親指の付け根の筋肉がやせて、親指と小指で物を掴みにくくなります。妊娠・出産期や更年期の女性が多く発症します。
原因は、正中(せいちゅう)神経が手首にある手根管というトンネル内で圧迫され、手首の運動が加わって症状が出るといわれています(図)。手根管は手関節部にある骨と横手根靱帯で囲まれたトンネルで、その中を1本の正中神経と指を動かす9本の腱が、膜に囲まれて走っています。妊娠・出産期や更年期の女性の場合は、女性のホルモンの乱れによる腱の周囲のむくみが原因と考えられています。
診断は以下のようにして行います。手首の手のひら側を指でたたくと、しびれ、痛みが指先に響きます。手首を直角に曲げて両手の甲をあわせて保持すると1分間以内にしびれ、痛みが悪化します。
手根管症候群という診断がくだされたら、漢方薬や消炎鎮痛剤、ビタミンB12などの飲み薬、外用薬で治療します。また、腱の周囲のむくみを治めるために手根管内に注射が行われます。治りにくい場合や、親指の付け根の筋肉がやせたり、腫瘤のあるものなどは手術が必要になることがあります。
手根管症候群を疑う症状がある時は、ぜひ近くの整形外科医に相談してみてください。

奈良県医師会