- 発行日 :
- 自治体名 : 和歌山県御坊市
- 広報紙名 : 広報ごぼう 令和7年7月号 No.533
■悲観しすぎず、楽観もしすぎず、「正しく恐れる」ことが重要です!
市民の皆さんにお会いする場やこの市長メッセージで、私が今一番気になっていることやお願いしたいことをお伝えしています。
今年3月31日、政府の中央防災会議の有識者で構成された作業部会が、南海トラフ地震の新たな被害想定をまとめた報告書を公表しました。最大死者が約29万8千人と、前回(平成24年)の32万3千人から10年経ちましたが、わずか8%しか減らせていないという結果となり、衝撃を受けた方、驚いた方も多く、特に自治体では、努力してきたのに効果が表れていないと落胆の声も上がっているところもあるようです。
しかし、報告書では、予測される被害は甚大ですが、浸水想定地域の住民全員が地震発生後、早期に避難を開始すれば津波による死者数は21万5千人から7万3千人と、7割近く減らせるとなっています。さらに、耐震化率も100%であれば、揺れによる全壊棟数は35万9千棟と、こちらも7割減少するとなっています。
つまり、意識一つで被害を大幅に減らすことができるということです。和歌山県は、対策も進み最大死者数が6万5千人と多いですが、当初想定より1万5千人減と全国最大の減少幅となっています。
作業部会の名古屋大の福和伸夫名誉教授も「南海トラフ地震は、国民の約半数が被災する国難だ。今回の想定は、国民一人ひとりが「自らの問題だ」と考えるチャンスにもなるだろう。」と話しています。
また、高知県の濵田知事も「最大クラスの地震が発生した場合、発生直後は、消防や警察、自衛隊を総動員してもすぐには救助が全体に行き届かない。行政組織も職員自身が被災者となるうえ、平時とは桁違いの作業が発生し、手が回らない。被害を減らすには、一人ひとりが耐震化や家具の固定、食料や水の備蓄、避難経路の確認などの準備をすることが最も重要なポイントだ。あらゆる機会を通じて広く説明をしていきたい。」とマスコミの取材に答えられています。
私も同じ思いであり、市長就任から5年、このことに取り組んできたところです。
今回の報告書の公表を受けて、ただ驚くのではなく、この数字の意味を正しく理解したうえで、悲観しすぎず、楽観もしすぎず、「正しく恐れる」ことが重要です。そして今一度、一人ひとり命の大切さを改めて考えていただき、できること、やらなくてはいけないこと、そして備えの再確認をどうかお願いいたします。
御坊市長 三浦 源吾(みうら げんご)